一時抹消登録・永久抹消登録の違い。使わない期間は一時抹消で税金回避!
一時抹消登録・永久抹消登録の違い。使わない期間は一時抹消で税金回避!

「もう乗らない車だけど、どうすればいいんだろう?」「車検が切れるけど、しばらく使わないし、できれば税金を払いたくない」車を所有している方で、このような悩みを抱えていらっしゃる方もいるかもしれません。
車の使用を一時的に停止したい場合や、完全に廃車にしたい場合に登場するのが「抹消登録」という手続きです。この抹消登録には「一時抹消登録」と「永久抹消登録」の2種類があり、それぞれ目的も手続き後の車の扱いも大きく異なります。
この記事では、この二つの抹消登録の違いを徹底的に解説し、特に「使わない期間は一時抹消で税金回避!」という賢い選択肢に焦点を当てます。「両者の違いについて、あまりよく分かっていない」という方に少しでも参考にしていただけると幸いです。
目次
1|抹消登録とは?:車の戸籍を抜く手続き
まず、抹消登録がどのような手続きなのかを理解しましょう。
抹消登録とは、自動車の登録を運輸支局から削除することを指します。車は、所有者が運輸支局に登録することで初めて公道を走る資格を得ます。この登録情報を削除する、つまり人間でいう所の「戸籍」を抜くのが抹消登録です。
抹消登録が完了すると、その車は「公道を走れない車」となり、同時にいくつかの義務も免除されます。この免除される義務の中に、車の維持費として大きな割合を占める「税金」が含まれているため、抹消登録は重要な手続きとなるのです。
抹消登録には、車の将来的な用途によって以下の2種類があります。
- 一時抹消登録:また使う可能性がある場合
- 永久抹消登録:二度と使わず、完全に解体・廃車にする場合
2|一時抹消登録と永久抹消登録の根本的な違い

| 項目 | 一時抹消登録 | 永久抹消登録 |
| 目的 | 一時的に車の使用を中止する(保管する) | 車を解体し、完全に廃車にする |
| 車の状態 | 解体せずそのまま残る(公道走行不可) | 解体・スクラップされる |
| 再登録 | 可能(中古新規登録) | 不可能 |
| 自動車税 | 課税停止 | 課税停止 |
| 重量税 | 還付対象外 | 還付対象 |
| 保険 | 自賠責保険の解約・還付が可能 | 自賠責保険の解約・還付が可能 |
A. 一時抹消登録:休止符を打つ、賢い選択
一時抹消登録とは、その名の通り「一時的に」車の登録を抹消する手続きです。車自体は解体せず、手元に残しておくことができます。
【一時抹消の最大のメリット】自動車税の課税停止=税金回避!
一時抹消登録の最大の魅力は、自動車税の課税が停止されることです。
自動車税は、毎年4月1日時点の車の所有者に対して課税されます。一時抹消登録を完了すると、その時点以降の自動車税の納付義務がなくなり、すでに支払ってしまっている場合は残りの月数分の税金が還付されます。
「数年間海外に行く」「長期入院する」「乗る予定はないが、レア車なので売らずに保管しておきたい」といった場合に最適です。
一時抹消登録をした車は、いつでも「中古新規登録」という手続きを行うことで、再度公道を走れるように復帰させることができます。
別記事:「一時抹消登録」から「再登録」までを徹底解説!
B. 永久抹消登録:完全な廃車、二度と使わない場合
永久抹消登録は、車を二度と使用しない場合に、車を解体した上で行う手続きです。
【永久抹消のメリット】自動車税に加え、重量税も還付の対象に
永久抹消登録も自動車税は課税停止になります。さらに、永久抹消登録の場合は、車検の残存期間が1ヶ月以上ある場合、自動車重量税の還付も受けることができます。
車を解体し、スクラップにする手続き(リサイクル処理)を完了した後に、その証明(移動報告番号、解体日)を持って運輸支局等で手続きを行います。
「事故で大破した」「寿命なので完全に乗り潰した」「売却よりも廃車を選んだ」という場合にこの手続きが必要になります。一度永久抹消登録をしてしまうと、その車を公道で走れるように戻すことは二度とできません。
3|なぜ「使わない期間は一時抹消で税金回避!」が賢いのか?

前述の通り、一時抹消登録は「使わない車」にかかる最大の維持費である自動車税をゼロにする、非常に賢い方法です。
車をただガレージに放置していても、4月1日をまたぐ限り、自動車税は毎年課税され続けます。排気量にもよりますが、数万円単位の出費が毎年発生します。
【具体例】3年間乗らない場合
排気量2,000cc超2,500cc以下の自家用車(標準的な税額:43,500円/年)を3年間乗らないとします。
- そのまま放置した場合:43,500円 × 3年 = 130,500円の無駄な出費
- 一時抹消登録した場合:自動車税0円+(一時抹消登録の手続き費用のみ)
一時抹消の手続きはそれほど複雑ではなく、印鑑証明書などの必要書類を揃えて運輸支局に行くだけです。手続きにかかる費用(印紙代など)を差し引いても、数ヶ月車を使用しないだけで、税金回避のメリットが大きくなります。
特に車検切れの車を所有している場合は、車検を通す予定がないならすぐに一時抹消登録を検討すべきです。車検が切れていても、4月1日時点の所有者には自動車税の納税通知書が届いてしまうからです。
4|各抹消登録が最適なケース
一時抹消登録が最適なケース
- 長期的な出張・留学などで数年間車を使わない場合
- レストア目的で、公道を走らせずにじっくりと修理・カスタムを行う場合
- 売却や譲渡の目途は立っているが、まだ確定していない場合(中古車販売店などがよく行っています)
- 車両を解体せずに保管しておきたい、いわゆる「保存車」にしたい場合
- 車検が切れて、すぐに車検を通す予定がない場合
永久抹消登録が最適なケース
- 車両を解体業者に引き渡した場合
- 事故や故障などで修復不可能な状態になった場合
- 中古車としての売却価値がほとんどないと判断し、解体処分を選んだ場合
- 車を二度と公道で使わないことが確定している場合
5|一時抹消登録と永久抹消登録の手続きと還付の違い

一時抹消登録と永久抹消登録は、どちらも運輸支局等で行う手続きですが、その前提条件と還付金に大きな違いがあります。
A. 手続きの前提条件:解体の有無
| 項目 | 一時抹消登録 | 永久抹消登録 |
| 前提条件 | 車が現存していること(解体されていない) | 車の解体・リサイクルが完了していること |
| 解体情報 | 不要 | 必須(解体業者から受け取る「移動報告番号」と「解体報告記録日」が必要) |
| 手続きの流れ | ナンバー返納後、書類提出 | 解体後、解体情報を添えて書類提出 |
| 再登録の可否 | 可能(中古新規登録) | 不可能 |
永久抹消登録は、車が物理的に解体され、リサイクルシステム上でその処理が記録された後でなければ申請できません。一方、一時抹消登録は、単に車の使用を休止するだけなので、解体は不要です。
B. 必要書類の主な違い
基本的な書類(車検証、印鑑証明書、ナンバープレート)は共通ですが、永久抹消には「解体の証明」が加わります。
| 必要書類 | 一時抹消登録 | 永久抹消登録 |
| 一時/永久抹消登録申請書 | ○ | ○ |
| 自動車検査証(車検証) | ○ | ○ |
| ナンバープレート | ○ | ○ |
| 解体報告記録の情報 | × | ○ |
| 一時抹消登録証明書 (登録識別情報等通知書) | 交付される(再登録に必須) | 交付されない |
一時抹消時に交付される「登録識別情報等通知書」は、車を復活させるための「生命線」となる書類です。絶対に無くさないよう、大切に保管しておきましょう。
C. 税金・保険の還付に関する違い
最も注目すべきは、金銭的なメリットの違いです。
| 項目 | 一時抹消登録 | 永久抹消登録 |
| 自動車税 | 残存月数分を還付 | 残存月数分を還付 |
| 自動車重量税 | 還付なし | 残存期間に応じて還付あり(車検残1ヶ月以上) |
| 自賠責保険 | 解約・残存期間の還付が可能 | 解約・残存期間の還付が可能 |
永久抹消登録は、車が完全に廃車になるため、自動車重量税も還付されます。一時抹消登録では、車を将来的に再使用する可能性があるため、重量税の還付はありません。この重量税の還付は、廃車時の実質的な利益として非常に大きいです。
6|一時抹消登録後の「復活」と永久抹消登録後の「終了」
A. 一時抹消からの復活(中古新規登録)
一時抹消登録の最大のメリットは、いつでも車を公道に戻せることです。この手続きを「中古新規登録」と呼びます。
この手続きでは、一時抹消時に受け取った「登録識別情報等通知書」を提出し、新規の車検(検査)を受け、自動車重量税などを納めることで新しい車検証とナンバープレートが交付されます。この再登録の道が残されているからこそ、一時抹消は賢い選択肢となるのです。
B. 永久抹消登録後の終了
永久抹消登録が完了した時点で、その車は公道走行車としての生命を完全に終えます。車自体は解体されており、二度と再登録することはできません。手続き完了後、所有者は自動車重量税の還付申請(該当する場合)と、自賠責保険の解約・還付手続きを進めて、全ての処理が終了となります。
7|まとめ:あなたの愛車に最適な選択を

一時抹消登録と永久抹消登録は、どちらも車の「戸籍」を抹消する手続きですが、その後の車の運命を大きく左右します。
- 「また乗るかもしれない」「保管しておきたい」→一時抹消登録で税金回避
- 「もう二度と乗らない」「解体する」→永久抹消登録で完全に廃車
特に長期の海外赴任や、乗る予定のないコレクション車など、使わない期間が数ヶ月以上に及ぶ場合は、迷わず一時抹消登録を選択肢に入れましょう。
運輸支局は、平日しか開いていないのでどうしても手続きに行くのが難しい方は、ディーラーや行政書士に依頼するのも良いでしょう。
弊所のご紹介
弊所は自動車登録に特化した行政書士事務所です。
抹消登録はもちろん、車庫証明、新規登録、移転登録、出張封印も取扱っております。ご相談は無料で承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。公式ラインからでも大歓迎です。





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