【2025】建設業者が使える補助金ガイド(代表例と解説付き)

【2025】建設業者が使える補助金ガイド(代表例と解説付き)

「人手不足」「資材高騰」「働き方改革への対応」。激変する建設業界の荒波の中で、事業の成長を止めないためには、大胆な「投資」と「変革」が必要です。しかし、その投資の重みが経営を圧迫することも事実でしょう。
そんな中、近年非常に注目を浴びているのが補助金です。

ただ、「自分の会社で使える補助金は何があるのだろう?」そんな疑問を抱えている経営者の方も多いのではないでしょうか。

この記事では、2025年に建設業者が活用できる可能性が高い、主要な補助金を厳選してご紹介・解説します。単なるリストではなく、「どのような目的で、どんな費用に使え、そしてどうすれば採択されるのか」という具体的な戦略まで踏み込みます。※公募中かどうかは各補助金のウェブサイトをご覧ください。
「補助金の活用を考えているけど、どの補助金が使えるのかがよく分かっていない」そんな経営者の方々に、少しでも参考にしていただけると幸いです。

1|2025年の建設業界における補助金活用の「3つの重要テーマ」

補助金は毎年入れ替わりますが、国が支援する「政策の方向性」は概ね一貫しています。建設業界に関連して、2025年においても特に重要視されるテーマは以下の3点です。このテーマに合致する事業計画こそが、補助金採択への近道となります。

1. 生産性向上とDX(デジタルトランスフォーメーション)

深刻化する人手不足への対策として、業務の効率化は待ったなしです。BIM/CIM導入ICT建機の活用、遠隔臨場システムの導入、事務作業のRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)化など、デジタル技術を用いた生産性向上の取り組みが重点的に支援されます。これは、建設業の「稼ぐ力」を強化するための最重要課題です。

2. グリーン化・脱炭素化(カーボンニュートラル対応)

2050年カーボンニュートラルの実現に向け、建築物の省エネ化・ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化や、建設プロセスにおける排出ガス削減、再生可能エネルギー設備の導入などが補助の対象となります。環境対応は、今後の建設案件の受注にも直結する重要な競争力となります。

3. 新規事業への挑戦とサプライチェーンの強靭化

既存事業の維持だけでなく、経済社会の変化に対応するための思い切った事業再構築や新分野進出、そしてサプライチェーン(供給網)の途絶リスクに備える投資も重要な支援対象です。例:地域材を活用した新工法開発、新たな専門性の獲得など。

2|建設業者が使える代表的な補助金ガイド(2025年版)

ここからは、建設業の皆様が最も活用しやすい、代表的な補助金を、上記の「3つのテーマ」と紐づけながら詳しく解説していきます。

【代表例1】ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)

補助金の目的主な対象費用採択のポイント(建設業の場合)
生産性向上のための革新的な設備投資やシステム導入を支援。* 新しい工法やサービス開発のための機械装置・システム構築費 * 専門家経費、技術導入費など* 「革新的な」取り組みであることの証明。単なる老朽化設備の更新では不可。 * 例:新築時の現場調査の自動化システム導入、特殊なプレキャスト工法のための製造設備導入など、付加価値額の向上を具体的に示す。
補助上限額750万円~8,000万円(枠や類型により変動)補助率 1/2または2/3

<建設業者の具体的な活用イメージ>

  • DX・生産性向上: 現場作業を減らすため、自社でプレカット材やモジュール部材を製造するための自動加工機械を導入する。
  • 革新的なシステムの導入: ドローンによる高精度な測量データと、それを設計・施工に連携させるための高機能なBIMソフトウェア及び関連システムの導入

【代表例2】事業再構築補助金

補助金の目的主な対象費用採択のポイント(建設業の場合)
「新しい市場への進出」や「既存事業の大幅な転換」など、思い切った事業の再構築を支援。* 建物費(新分野展開のための改修、新築など) * 機械装置・システム構築費 * 広告宣伝費、研修費など* 「新しい市場への進出」または「既存事業のやり方の大幅な変更」が必須。 * 例:戸建て建築から、リフォーム・リノベーション事業に本格参入し、新たなショールームを建設する。
補助上限額500万円~数億円(枠により大きく変動)補助率 3/1~3/4

<建設業者の具体的な活用イメージ>

  • 新分野への進出: 従来の土木・建築事業に加え、不動産テックを活用した空き家再生ビジネスを立ち上げるための事務所改修やシステム開発。
  • 業態転換: 災害に強い構造材の製造・販売に特化し、従来の請負業務からメーカーとしての事業に転換するための工場設備投資。

【代表例3】IT導入補助金

補助金の目的主な対象費用採択のポイント(建設業の場合)
中小企業の労働生産性の向上を目的とし、ITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入費用を支援。* ソフトウェア購入費 * クラウド利用費 * 導入関連費用* 導入するITツールが、事前に事務局に登録されているものであること。 * 「業務効率化」や「データ連携」による生産性向上効果を明確に示す。
補助上限額5万円~450万円(類型により変動)補助率 1/2~4/5

<建設業者の具体的な活用イメージ>

  • 通常枠(生産性向上): 現場管理システム、原価管理システム、図面管理クラウドサービスなどの導入。
  • セキュリティ対策推進枠: サイバー攻撃対策や情報漏洩防止のためのセキュリティソフトウェア・サービスの導入。

3|【環境対応・先端技術導入】に特化した補助金

汎用性の高い補助金とは別に、国の特定政策テーマに強く結びついた補助金も、競争力強化に不可欠です。

【特化例4】既存建築物省エネ化推進事業(グリーン化・環境対応)

補助金の目的主な対象費用採択のポイント(建設業の場合)
既存の建築物において、高い省エネ性能を有する改修を行う際の費用を支援。* 20%以上の省エネ効果が見込まれる既存建築物の省エネ改修工事等* 省エネ性能を一定以上向上させる改修計画を策定すること。 * 特に、ZEB化(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)を目指す改修は重点支援対象。
補助上限額上限5,000万円/件補助率 1/3

<建設業者の具体的な活用イメージ>

  • 自社所有施設の省エネ化: 自社で所有する事務所や作業所の窓を高性能なものに交換し、高効率エアコンを導入することで、光熱費を削減しつつ、施工実績としてアピールする。

4|【失敗しない】補助金申請のための3つの鉄則(採択戦略)

補助金は競争です。多くの企業が申請する中で、あなたの事業計画が採択されるためには、以下の3つの鉄則を守る必要があります。

鉄則1:補助金の「目的」と自社の「課題」を完全一致させる

申請書は、あなたの課題解決策を書く場所であると同時に、「国の政策目標達成に貢献します」という宣言書です。

  • ものづくり補助金であれば「革新的な生産性向上」
  • 事業再構築補助金であれば「大胆な新分野進出」

自社の計画が、それぞれの補助金が目指す方向性(第1章で解説した3つの重要テーマ)にいかに深く合致しているかを、論理的かつ数値目標を交えて説明してください。

鉄則2:加点要素を徹底的に積み上げる

多くの補助金には、採択審査で優遇される「加点項目」が設けられています。

  • 賃上げ計画の表明(特に重要な加点要素):多くの補助金で賃上げは加点対象となります。
  • 事業継続力強化計画(BCP)の認定:災害リスクを抱える建設業にとって非常に有効な加点要素です。
  • M&Aの実施や先端技術の導入:事業再構築補助金などで加点対象となる場合があります。

申請前に、これらの加点要素を可能な限り満たしておくことで、競合する申請者との差別化を図ることができます。

鉄則3:公募開始「前」の準備に全力を尽くす

補助金は採択されてから「発注」を行うのが原則であり、公募期間は短いことが多いです。

  • 事前準備の徹底: GビズIDの取得、財務書類の整理、導入予定の設備の見積もり取得などは、公募開始前に済ませておく必要があります。特にGビズIDは郵送だと時間がかかるため、即座に手続きを始めましょう。
  • 専門家との連携: 補助金制度に詳しい行政書士や認定支援機関などの専門家のサポートを受けることも、採択率を高める有効な手段です。

5|最後に:2025年、補助金を活用して「強く、新しい建設業」へ

建設業界は、その社会インフラを支える責務から、常に国の政策支援の重点対象であり続けています。

2025年も、DX・省エネ・新規事業の波は止まりません。補助金は、この時代の変化に対応し、さらに一歩先の競争力を手に入れるための「資本」です。

この記事を参考にしていただいて、会社の事業計画に最適な補助金を見つけ、「強く、新しい建設業」へと進化を遂げるための大胆な投資を実行してください。

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