鋼構造物工事業とは?どんな工事の内容が当てはまる?取得に役立つ資格も併せて解説!
鋼構造物工事業とは?どんな工事の内容が当てはまる?取得に役立つ資格も併せて解説!

建設業の一分野である鋼構造物工事業。私たちの身の回りにある様々な建造物、例えば橋や高層ビル、タワーなどには、この鋼構造物工事業が深く関わっています。この記事では、鋼構造物工事業の概要から、具体的な工事内容、そしてこの事業に役立つ資格について詳しく解説します。
鋼構造物工事業の定義と役割
鋼構造物工事業とは、形鋼、鋼板等の鋼材の加工又は組み立てにより工作物を築造する工事を指します。具体的には、鉄骨構造を持つ建築物の骨組みや、橋梁、鉄塔、水門などの建設工事が含まれます。これらの建造物は、鉄骨の強度と耐久性を活かして、大規模で複雑な構造物を実現しています。
この事業の最も重要な役割は、建物の骨格を形成することです。人間の体でいうと、骨にあたる部分を作り上げる作業です。建物の安全性を確保するために、非常に高い精度と技術力が求められます。
鋼構造物工事業に該当する工事内容
鋼構造物工事業には、多岐にわたる工事が含まれます。代表的な工事内容を解説します。
- 鉄骨工事:高層ビルや大規模な商業施設などの骨組みを形成する工事です。工場で加工された鉄骨を現場で組み立て、溶接やボルトで接合していきます。
※『とび・土工・コンクリート工事』における「鉄骨組立工事」と『鋼構造物工事』における「鉄骨工事」との区分の考え方は、鉄骨の製作、加工から組立てまでを一貫して請け負うのが『鋼構造物工事』における「鉄骨工事」であり、既に加工された鉄骨を現場で組立てることのみを請け負うのが『とび・土工・コンクリート工事』における「鉄骨組立工事」とされています。
『とび・土工・コンクリート工事』とは(別記事) - 橋梁工事:道路や鉄道の橋を建設する工事です。鋼材を用いて建設される橋の工事が該当します。
- 鉄塔工事:送電線や通信用の鉄塔を建設する工事です。
- 石油・ガス等の貯蔵用タンク設置工事:石油やガスを貯蔵するための大規模なタンクを建設する工事です。
- 閘門、水門等の門扉設置工事:河川や運河の水量を調節するための水門等を建設する工事です。
- 屋外広告工事:大規模な屋外広告や看板の骨組みを設置する工事です。
※『とび・土工・コンクリート工事』における「屋外広告物設置工事」と『鋼構造物工事』における「屋外広告工事」との区分の考え方は、現場で屋外広告物の製作、加工から設置までを一貫して請け負うのが『鋼構造物工事』における「屋外広告工事」であり、それ以外の工事が『とび・土工・コンクリート工事』における「屋外広告物設置工事」とされています。
これらの工事は、建物の種類や規模によって異なる技術やノウハウが求められます。特に、高所での作業や重量物の取り扱いが多く、安全管理が極めて重要となります。
専任技術者となるために役に立つ資格

建設業許可を取得する上で配置が必須となる専任技術者になるためには、特定の資格を保有していることが非常に役に立ちます。
もちろん鋼構造物工事業でも、実務経験のみで専任技術者となることは可能です。
専任技術者(現:営業所技術者に関しての記事はこちら)
建築施工管理技士
- 一級建築施工管理技士
- 二級建築施工管理技士(躯体)
建築工事全般の施工管理を行うための国家資格です。鋼構造物工事は建築工事の一部であるため、この資格を取得することで、専任技術者としての要件を満たすことができます。この資格を持つことで、建築物の品質、コスト、工程、安全を総合的に管理する能力があることを証明できます。
土木施工管理技士
- 一級土木施工管理技士
- 二級土木施工管理技士(土木)
土木工事全般の施工管理を行うための国家資格です。特に、橋梁や水門などの工事に携わる場合は、この資格が極めて重要です。土木施工管理技士は、インフラ整備における専門家として、計画から完成までを円滑に進めるための知識を有しています。
建築士
- 一級建築士
建築物の設計や工事監理を行うための国家資格です。この資格は、建築の専門家としての深い知識を証明し、特に建築関連の鋼構造物工事に携わる際に有利となります。設計段階から施工までの一貫した知識を持つことで、より高度なプロジェクト管理が可能になります。
技術士
- 建設部門「鋼構造及びコンクリート」・総合技術監理部門(建設「鋼構造及びコンクリート」)
建設プロジェクトにおける高度な専門知識と応用能力を持つ技術者であることを証明する国家資格です。
技能検定
- 鉄工(選択科目「製缶作業」または「構造物鉄工作業」)
職業能力開発促進法に基づいて実施される国家検定であり、その技術レベルを公的に証明する資格です。
建設業部門の技能検定には何種類あるの?(別記事)
※一級を保有していれば、資格のみで専任技術者の要件を満たせますが、二級のみ保有の場合は加えて3年の実務経験が必要となります。
まとめ

鋼構造物工事業は、私たちの社会を支える重要なインフラや建物を構築する、素晴らしい仕事です。高層ビルや橋など、身近な建造物がどのようにして作られているかを知ることで、この仕事の奥深さが理解できます。
もし、建設業界でキャリアを築きたいと考えているなら、鋼構造物工事業は魅力的な選択肢の一つです。
鋼構造物工事業の建設業許可を取得して、事業を拡大していきましょう。