しゅんせつ工事業とは?どんな工事の内容が当てはまる?取得に役立つ資格も併せて解説!
しゅんせつ工事業とは?どんな工事の内容が当てはまる?取得に役立つ資格も併せて解説!

しゅんせつ工事業とは、河川や港湾等の水底をしゅんせつする工事です。この記事では、しゅんせつ工事業とは何か、具体的な工事内容、そして許可取得に役立つ資格まで、分かりやすく解説します。これからしゅんせつ工事の建設業許可を取ろうとお考えの方や、「しゅんせつ工事とは何か」という疑問を抱えている方のお役に立てれば幸いです。
1:しゅんせつ工事業とは?
しゅんせつ工事業は、建設業許可における29種の専門工事業の一つです。水底の土砂や堆積物を掘削・除去する工事を指します。
- 主な目的:
- 河川の治水対策: 洪水防止のため、河川の流れをスムーズにする。
- 港湾の維持管理: 船舶が安全に航行できるよう、航路や停泊地の水深を確保する。
- 水質保全: ヘドロなどを除去し、水質の改善を図る。
- 埋立地の造成:浚渫工事で発生した土砂を、埋立地の造成材として使う。
しゅんせつ工事は、陸上で行う土木工事とは異なり、水域での特殊な技術と機械を必要とします。そのため、専門性の高い工事業として分類されています。
2:しゅんせつ工事業に該当する工事内容
しゅんせつ工事業には、以下のような工事が含まれます。
- 浚渫工事:
- 河川や運河、湖沼、貯水池などの水底の土砂や堆積物を取り除く工事。
- 港湾の航路や船だまり(泊地)の水深を維持するための工事。
- 浚渫船(バケット浚渫船、グラブ浚渫船、ポンプ浚渫船など)を用いて行われます。
しゅんせつ工事と土木一式工事との違い よく混同されるのが「土木一式工事」です。土木一式工事は、大規模で複雑な土木工作物(河川、道路、ダムなど)を総合的に建設する工事です。一方、しゅんせつ工事業は、その中の「水底の掘削」という専門的な部分に特化しています。
- 例:
- 土木一式工事: 河川改修事業全体(護岸工事、橋梁工事、浚渫工事など)
- しゅんせつ工事業: その河川改修事業の中の、水底の土砂を取り除く部分のみ
単一の請負契約で、浚渫工事だけでなく、それに付随する一連の工事(護岸工事など)も請け負う場合は、土木一式工事に該当することもあります。しかし、メインが浚渫工事であり、その請負代金が500万円以上であれば、しゅんせつ工事業の許可が必要になります。
3:しゅんせつ工事業の許可取得に役立つ資格

しゅんせつ工事業の許可を取得するためには、専任技術者(現営業所技術者)の要件を満たす必要があります。特に専任技術者の要件を満たすために、以下の資格が役立ちます。
資格は必須というわけでは無く、実務経験で専任技術者となることも可能です。
(専任技術者の要件について詳しく知りたい方はこちら)
国家資格
以下の資格は、しゅんせつ工事業の専任技術者になるための要件を満たします。
土木施工管理技士
- 1級土木施工管理技士
- 2級土木施工管理技士(種別:土木)
- 土木工事全般の技術・知識を証明する資格で、しゅんせつ工事にも応用できます。
技術士
- 建設 総合技術監理(建設)
- 建設「鋼構造及びコンクリート」総合技術監理(建設「鋼構造及びコンクリート」)
- 水産「水産土木」総合技術監理(水産「水産土木」)
- 非常に専門性の高い資格で、実務経験も問われますが、取得できればほぼすべての建設工事の専任技術者になれます。
実務経験
資格がなくても、一定の実務経験があれば専任技術者になれます。
- しゅんせつ工事に関する実務経験が10年以上ある場合
- 過去に10年以上、しゅんせつ工事の実務に携わっていたことが証明できれば、専任技術者になれます。
- 指定学科卒業の場合
- 高校卒業後5年以上、大学・専門学校卒業後3年以上の実務経験で要件を満たします。
4:しゅんせつ工事業の将来性と市場
しゅんせつ工事業は、一見地味な工事に見えますが、社会インフラの維持に不可欠な役割を担っています。
- 防災・減災: 豪雨や台風が増える中、河川の浚渫は洪水被害を軽減するための重要な対策です。
- 物流の維持: 港湾の航路水深維持は、日本の海上物流を支える上で欠かせません。
- 環境保全: 湖沼やダムのヘドロ除去は、生態系の保護や水資源の確保に貢献します。
このように、しゅんせつ工事は、SDGs(持続可能な開発目標)にも関連する重要な工事であり、今後も安定した需要が見込まれます。専門的な技術やノウハウを持つ企業にとっては、非常に将来性の高い事業と言えるでしょう。
5:まとめ

しゅんせつ工事業は、河川や港湾などの水底を掘削する専門的な工事であり、土木一式工事とは明確に区別されます。
- しゅんせつ工事業に該当する工事: 浚渫工事、水路開削工事、水底の掘削工事など。
- 許可取得に役立つ資格:
- 1級・2級土木施工管理技士(土木)
- 技術士(建設部門など)
- 資格がない場合:
- 10年以上の実務経験
- 指定学科卒業後の3〜5年の実務経験
しゅんせつ工事業は、社会の安全と環境保全を支える重要なインフラ事業です。適切な許可を取得し、専門性を高めることで、安定した事業の継続と社会への貢献が可能になります。しゅんせつ工事業の建設業許可を取得して、事業を拡大していきましょう。