【7業種】指定建設業とは?特定建設業との違いも徹底解説!

【7業種】指定建設業とは?特定建設業との違いも徹底解説!

建設業を営む上で、「特定建設業」「一般建設業」といった許可の種類があることはご存知の方も多いでしょう。しかし、その中に「指定建設業」という言葉も存在し、これらがどのように関わり、何が違うのか、いまいち把握しきれていない方も少なくありません。

この記事では、難解に感じられがちな「指定建設業」と「特定建設業」の違いを、建設業許可制度の基本から分かりやすく、そして徹底的に解説します。「許可取得を考えているけど、自分が指定建設業に該当するのか不安…」そんなお悩みをお抱えの方に少しでも参考にしていただけると幸いです。

1|建設業許可制度の基本を理解する

まず、「指定建設業」と「特定建設業」の違いを理解するために、大前提となる建設業の許可制度について簡単に整理しましょう。

建設業の許可は、下請金額が一定以上の工事を請け負う場合に必要とされ、大きく以下の2つの側面で区別されます。

1. 許可の「種類」:一般建設業と特定建設業

これは、主に下請契約の金額によって区別される「許可の種類」です。

許可の種類対象となる業者主な要件の違い
特定建設業発注者から直接請け負った1件の工事につき、5,000万円(建築一式工事の場合は8,000万円)以上の下請契約を締結して下請人に施工させる業者財産的基礎が厳しく(資本金2,000万円以上など)、技術者要件も厳しい。重い責任が課される。
一般建設業特定建設業に該当しない業者下請契約の金額に上限がある(上記の金額未満)。比較的許可要件は緩やか。

特定建設業の許可が必要なのは、「元請業者として、規模の大きな下請契約を結ぶ場合」であると覚えておくと良いでしょう。これは、下請業者を保護し、元請業者に適切な管理能力と財産的基盤を求めるための制度です。
別記事:特定建設業許可と一般建設業許可の違いを解説!最適な許可はどっち?

2. 許可の「業種」:全部で29業種

建設工事は、その内容によって29種類の「業種」に分類されています。建設業者は、実際に請け負う工事の種類に応じて、この29業種のうち必要な業種ごとに許可を取得しなければなりません。

例:土木工事業、建築工事業、電気工事業、管工事業、大工工事業など

2|特定建設業と「指定建設業」の違い

特定建設業と指定建設業は、どちらも建設業の許可要件の厳しさに関わる用語ですが、その意味合いと立ち位置が異なります。

結論から言うと、指定建設業は、「特定建設業」という大きな枠組みの中の一部として位置づけられています。
言い方を変えると、一般建設業とは無関係ということです。ですので、これから一般建設業許可の取得をお考えの方は、該当することは無いためご安心ください。

1. 特定建設業:許可の「種類」に関する分類

前述の通り、特定建設業は下請金額の制限によって区別される「許可の種類」です。すべての業種(29業種)において、下請契約の金額が一定額以上になる場合は、特定建設業の許可を取得する必要があります。

特定建設業の要件:

2-2. 指定建設業:特定の「業種」に関する分類

指定建設業とは、特定建設業の許可を取得する際、特に厳しい技術者要件が課される、政令で定められた7つの業種のことを指します。

これは、これらの7業種が「施工技術の総合性や高度な技術力が特に必要とされる」と国が定めているためです。

指定建設業のポイント:

  1. 特定建設業の許可を取得する際にのみ関係する。(一般建設業とは無関係)
  2. 指定建設業の業種で特定建設業の許可を取る場合、技術者の資格要件が他の業種よりも厳格になる

つまり、特定建設業という「許可の種類」があり、その中でも特定の「業種」を指すのが指定建設業なのです。

3|【7業種】指定建設業の具体的な業種と要件の厳しさ

指定建設業に該当する7つの業種は以下の通りです。これらの業種で特定建設業の許可を取得しようとする場合、特に厳しい要件が適用されます。

No.指定建設業の7業種工事の具体例
1土木工事業道路、橋梁、ダム、河川、造成工事など、総合的な土木工事
2建築工事業新築、増改築など、総合的な建築工事
3電気工事業発電・変電設備、照明、配線、通信設備など
4管工事業冷暖房、給排水、空調、ガス管、衛生設備など
5鋼構造物工事業鉄骨建築物、橋梁、鉄塔、水門など、鋼材を加工・組み立てる工事
6舗装工事業道路、駐車場、運動場などのアスファルト・コンクリート舗装工事
7造園工事業公園、庭園、植栽、緑化、屋上緑化などの工事

1. 指定建設業で課される「技術者要件」の厳しさ

指定建設業が他の特定建設業と最も大きく異なる点は、専任技術者監理技術者として認められるための資格要件です。

建設業の分類監理技術者の要件
指定建設業 7業種一級国家資格等(一級建築士、一級施工管理技士、技術士など)の保有が必須。実務経験のみでは不可
指定建設業以外の 特定建設業 22業種一級国家資格等に加え、一定の要件を満たした実務経験でも可能。
一般建設業 29業種国家資格(二級を含む)または一定の実務経験で可能。

指定建設業では、実務経験を積んだだけでは技術者として認められず、必ず一級国家資格などの高度な資格が必要とされます。これは、これらの工事が社会的な影響が大きく、高度な技術と広範な知識に基づいた厳格な施工管理が求められるためです。

4|指定建設業・特定建設業・一般建設業の整理

最後に、3つの分類の関係性を整理し、事業者が取るべき行動を明確にします。

1. 許可の種類と業種のフローチャート

ステップ問い結論適用される要件
1番目請負金額が500万円以上(税込み)か?YES → 許可が必要
NO→建設業許可は不要
比較的緩やかな財産的基礎技術者要件
2番目発注者から直接請け負う工事で、下請契約の総額が5,000万円(建築一式は8,000万円)以上になるか?YES特定建設業の許可が必要
NO→一般建設業許可でOK
厳格な財産的基礎技術者要件
3番目特定建設業の許可を取りたい業種は、7つの指定建設業に該当するか?YES指定建設業として特定建設業の許可が必要
NO→特定建設業許可(一般的)でOK
ステップ2の要件に加え、技術者は一級国家資格等必須

2. 事業拡大を目指す上での重要性

  • 特定建設業の取得は、事業規模拡大の証: 大規模な下請契約を伴う工事を元請として受注できるようになり、事業の幅が大きく広がります。
  • 指定建設業は、技術力と人材の確保が鍵: 特に指定建設業の許可を取得するには、一級国家資格を持つ有資格者の確保が絶対条件です。これは、企業が技術力に裏打ちされた高度な施工能力を持っていることの証明にもなります。

5|まとめ

「特定建設業」は下請金額の制限に関する許可の種類、「指定建設業」は特定建設業の中で特に厳しい技術者要件が課される7つの業種という関係です。

特定建設業の許可取得を目指す際は、ご自身の事業が指定建設業の7業種のいずれかに該当するかを必ず確認し、それに応じた適切な技術者の配置計画を立てることが重要です。

この違いを正しく理解することで、貴社の今後の成長戦略がより明確になり、建設業界でのさらなる飛躍につながるでしょう。許可申請は複雑なため、専門家である行政書士などに相談しながら、確実に手続きを進めることをお勧めします。

弊所は建設業に特化した行政書士事務所ですので、的確なアドバイスをすることが可能です。是非お気軽にご相談ください。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です