【砂防法】砂防指定地とはどんな地域を指すの?調べる方法も解説!

【砂防法】砂防指定地とはどんな地域を指すの?調べる方法も解説!

「砂防指定地」という言葉を聞いたときどのようなイメージを思い浮かべますか?
「危ない土地」というイメージを持ちましたか?それとも「制限があって面倒な土地」というイメージでしょうか。

土地の購入や利用を検討している方にとって、その土地が「砂防指定地」であるかどうかは、少し大袈裟に聞こえるかもしれませんが、命の安全資産価値に直結する非常に重要な情報です。

この記事では、土砂災害から私たちを守るための砂防法に基づいた「砂防指定地」について、その正確な定義から、指定されることによる具体的なメリットとデメリット(制限)、そして「土地が指定地かどうかを調べる確実な方法」までを、専門用語を避け、わかりやすく徹底的に解説します。
砂防指定地について知りたい方に、少しでも参考にしていただけると幸いです。

1|【基本】砂防指定地とはどんな地域を指すのか?

砂防指定地とは、文字通り土砂災害を防ぐ(砂防)目的で、法律に基づき特定の行為が制限される地域のことです。

1. 砂防指定地の定義(砂防法)

砂防指定地は、明治時代に制定された「砂防法」に基づいて指定される区域です。

その定義として、「一定の行為を制限し、又は砂防設備を設置することで土砂災害を予防・軽減する必要がある土地」を指します。

具体的には、以下のような場所が国土交通大臣によって指定されています。

  1. 砂防設備(砂防ダムなど)の設置を必要とする土地。
  2. 砂防工事を行った土地や、今後行う予定のある土地。
  3. 土砂の流出や崩壊を誘発するような行為を禁止・制限する必要がある土地。

この指定により、土砂の流出を助長するような無秩序な開発や行為を防ぎ、下流の住民の生命や財産を守るという重要な役割を果たしています。

2. 砂防指定地の具体的な場所

砂防指定地は、危険性の高い場所であればどこでも指定されますが、特に以下の場所が該当しやすいです。

  • 渓流・河川の上流部や、その流域で土砂の生産・流出が顕著な場所。
  • 山腹の崩壊が起こりやすい傾斜地。
  • 過去に大規模な風水害や震災で土砂流出が発生し、砂防設備が必要と認められた区域。
  • 砂防ダムや堰堤(えんてい)といった砂防設備自体、およびその周辺の土地。

つまり、土砂を多く含む水が流れ出たり、地盤が不安定で土砂崩れを起こす可能性がある「土砂災害の危険の源」となる地域が指定されると考えておけば間違いありません。

2|砂防指定地に指定されることのメリット・デメリット(制限)

砂防指定地に指定されることは、単に「規制される」という話ではありません。土地の所有者や地域住民にとって、極めて重要なメリットと、それに伴うデメリット(制限)があります。

1. 最大のメリット:命と財産を守る土砂災害の予防

砂防指定地であることの最大のメリットは、何といっても安全性の向上です。

指定されると、国や都道府県によって以下のような防災対策が実施されます。

  • 砂防設備の設置: 砂防ダム(砂防えん堤)や渓流保全工などの施設が整備され、土砂の流出を食い止めたり、勢いを弱めたりする効果が期待できます。
  • 適切な管理: 砂防指定地内における無秩序な開発が制限されるため、人為的な要因による災害のリスクが抑えられます。

これらの対策によって、下流の集落や都市の生命と財産が守られることになります。土地の所有者にとっては、災害リスクが軽減されるという意味で、間接的に資産の保全に繋がるのです。

また、砂防指定地内の山林については、土地利用上の制限があることを踏まえ、固定資産税の評価額が減額される措置があることもあります(自治体や土地の状況によります)。

2. デメリットと主な制限行為

砂防指定地のデメリットは、土地の利用方法が大きく制限されることです。

砂防指定地内で以下のような行為を行う場合、都道府県知事の許可が必要となります。これは、これらの行為が土砂災害を誘発・助長する可能性があるためです。

制限される主な行為行為の内容
土地の形状変更掘削(地面を掘ること)、盛土(土を盛ること)、切土(斜面を削ること)など、土地の形を変える行為。造成工事や宅地開発などが該当します。
工作物の新築・増築建築物、道路、橋梁、その他の工作物(施設)を新しく建てたり、改築・増築したりする行為。
立竹木の伐採樹木や竹を伐採すること。特に根っこまで採る樹根の採取も制限されます。木がなくなることで地盤が緩むのを防ぐためです。
土石等の採取・集積土砂、砂利、鉱物を採取したり、これらをたい積(積み上げ)したり、投棄したりする行為。

許可を得るためには、その行為が「砂防に支障がない」ことを証明する技術的な審査が必要となり、手続きに時間と費用がかかることが大きな制約となります。

3|【重要】あなたの土地が砂防指定地か調べる方法を徹底解説!

土地の購入や利用の前に、その土地が砂防指定地かどうかを確認することは、後々のトラブルを避けるために最も重要です。

1. 窓口での確認:役所(自治体)

最も確実で正式な情報は、地域の自治体の担当窓口で確認することです。

  1. 担当課を特定する: 都道府県の土木事務所や、県庁・市役所の砂防課、河川課、治水課などが担当しています。まずは電話で「砂防指定地について確認したい」と問い合わせ、正確な担当部署を聞きましょう。
  2. 必要な情報を用意する: 確認したい土地の正確な地番(住居表示ではなく登記上の番号)と公図(なければ地図)を持参または提供できるように準備します。
  3. 確認作業: 窓口では、備え付けの指定の図面と照合して、あなたの土地が指定地に含まれているかどうかを明確に教えてもらえます。この確認は、不動産取引における重要事項説明でも義務付けられている重要な手続きです。

2. インターネットでの確認

近年、多くの自治体がインターネット上で砂防指定地の情報や、関連する防災情報を公開しています。

  • 自治体のGIS(地図情報サービス): 「〇〇県(市) 砂防マップ」「GIS」などで検索すると、地図上に砂防指定地の区域を色分けして表示している場合があります。
  • 土砂災害ハザードマップ: 土砂災害警戒区域と合わせて砂防指定地の情報が掲載されていることも多いです。

ただし、インターネット上のマップはあくまで概略図であり、正式な確認は必ず役所の窓口で行う必要があることを忘れないでください。境界線に近い場合などは特に、正式な図面での確認が不可欠です。

4|砂防指定地と間違えやすい制度との違い

砂防指定地以外にも、土砂災害に関連する法律に基づく指定区域がいくつかあります。これらは目的や制限が異なるため、混同しないように注意が必要です。

区域の名称根拠法主な目的行為の制限の度合い
砂防指定地砂防法土砂の流出を抑制・軽減するための設備設置と原因となる行為の制限。比較的広範な行為(掘削・伐採・建築)に許可が必要。
土砂災害警戒区域 (イエローゾーン)土砂災害防止法住民への情報伝達・避難体制の整備。建築物の新築等の制限はない(情報提供のみ)。
土砂災害特別警戒区域 (レッドゾーン)土砂災害防止法建築物の損壊を防ぐ。特定開発行為の制限や、建築物の構造規制がある。
急傾斜地崩壊危険区域急傾斜地法崖地の崩壊を防止するための工事と行為の制限。崩壊を誘発する水の浸透切土などに許可が必要。

1. 土砂災害警戒区域(イエローゾーン)との違い

最もよく混同されるのが、土砂災害警戒区域(イエローゾーン)です。

  • 砂防指定地: 土砂を発生させない、流出させないための原因対策が主な目的です(砂防法)。
  • 警戒区域(イエローゾーン): 既に危険性がある区域で、災害を想定した避難体制を整えることが主な目的です(土砂災害防止法)。

砂防指定地は「原因の土地」を、警戒区域は「被害を受ける可能性のある土地」を指すことが多いですが、両方が重複して指定されるケースも少なくありません。

2. 土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)との違い

土砂災害特別警戒区域は、建物の損壊により住民に著しい危害が生じるおそれがある区域です。

レッドゾーンでは、建築物の新築・改築が厳しく制限され、構造的な安全基準が義務付けられます。砂防指定地の制限は主に土地の形状変更や伐採といった「災害の誘発行為」に関するものですが、レッドゾーンの制限は「建物の構造と立地」に関するものが中心となります。

5|まとめ:砂防指定地と賢く付き合うために

砂防指定地は、土地利用に一定の制限を課すものの、その本質は土砂災害から地域住民の生命と財産を守るための大切な予防策です。

土地の購入や開発を検討する際は、砂防指定地であるかどうかの確認を怠ってはなりません。

賢い土地活用のためのステップ

  1. 【まず確認】 検討地の正確な地番を把握し、自治体に問い合わせて正式な確認を行う。
  2. 【次に計画】 許可が必要な行為(掘削、盛土、建築など)がある場合は、事前に具体的な計画図を持って窓口へ相談し、許可の要否や技術的な基準を確認する。
  3. 【常に意識】 砂防指定地であることを理解し、安全性の高さというメリットも踏まえて土地の価値を判断する。

砂防指定地という制度を正しく理解し、適切な手続きを踏むことで、あなたは安全性を確保しつつ、法を遵守した土地活用を進めることができるでしょう。ご自身の土地の安全と利用の可能性について、一度自治体の窓口で相談してみてください。

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