【完全解説】住民票の除票の取得方法!本人以外(代理・利害関係人)が請求する際の必要書類と注意点

【完全解説】住民票の除票の取得方法!本人以外(代理・利害関係人)が請求する際の必要書類と注意点

「住民票の除票」をご存じですか?住民票はほとんどの方がご存じかと思いますが、「除票(じょひょう)」に関しては聞いたことが無いという方も多いのではないでしょうか。「住民票の除票」とは、市町村から転出したり、死亡したりすることによって、住民登録が抹消(消除)された住民票のことを指します。

通常、引っ越しなどで転出届を出すと、その時点で元の市区町村での住民票は「除票」という扱いになります。

除票の写しには、住民票に記載されていた情報(氏名、生年月日、性別、住所など)のほかに、以下の情報が記載されます。

  • 転出の場合: 転出先の住所、転出(異動)年月日
  • 死亡の場合: 死亡年月日

除票は、故人の相続手続きや、過去の住所を証明する際に非常に重要な役割を果たします。この記事では、住民票の除票を取得するための手順。また、「本人以外」が請求する際の具体的な方法と必要書類について、詳しく解説します。

1|住民票の除票が必要になる主なケース

どのような状況で住民票の除票が必要になるのでしょうか。主な利用目的を知っておくと、請求時に役所の窓口で「請求理由」を明確に伝えやすくなります。

  • 故人の相続手続き(死亡除票): 故人の最後の住所を証明し、遺産分割協議や金融機関の解約手続き、相続税申告などで使用されます。
  • 年金・保険の手続き: 過去に加入していた年金や保険の記録を確認する際に求められることがあります。
  • 自動車の登録手続き:車検証と現住所が違う場合に、住所の繋がりを証明するために必要になることがあります。本籍地が変わっていない場合、戸籍の附票で繋がりを証明できますが、外国人など本籍のない場合は「住民票の除票」で繋がりを証明する必要があります。
  • 裁判所での手続き: 訴訟や相続放棄などで、当事者の過去の住所を特定・証明するために使用されることがあります。

2|住民票の除票を請求できる人(請求権者)

除票の写しは、個人情報保護の観点から、誰でも請求できるわけではありません。請求できる人は主に以下の3パターンに分かれます。

請求できる人の区分請求の条件
1. 本人原則として、除票の対象者本人のみが請求できます。
2. 代理人本人から依頼(委任)を受けた弁護士、司法書士、行政書士などの専門家、または同一世帯の家族(※)など。
3. 第三者(利害関係人)自己の権利行使や義務履行のため、または官公庁への提出が必要な場合に限り請求が認められます。

【重要】 亡くなった方や転出した方の「元の世帯員」であっても、現在は同一世帯ではないため、原則として「本人以外」の請求となり、委任状や正当な利害関係を示す疎明資料が必要となります。

3|【最も複雑】本人以外が請求する際の必要書類と手続き

住民票の除票の請求で最も戸惑いやすいのが、本人以外が請求するケースです。「代理人」として請求する場合と、「利害関係人(第三者)」として請求する場合で、必要書類が大きく異なります。

1. 代理人として請求する場合

本人(除票の対象者)が存命で、病気などで窓口に行けない場合に、代理人が代わりに請求するケースです。

必要な書類詳細と注意点
1. 住民票の除票の写し等交付申請書窓口で記入します。
2. 本人からの委任状必須。請求する除票の種類(本籍・続柄の記載の有無など)を明記してもらいます。
3. 代理人の本人確認書類運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど(有効期限内のもの)。
4. 手数料各自治体により異なりますが、概ね300円程度。

2. 第三者(利害関係人)として請求する場合

亡くなった方の相続手続きや、債権回収など、正当な理由がある場合に限られます。これが最も審査が厳しくなります。

必要な書類詳細と注意点
1. 住民票の除票の写し等交付申請書窓口で記入します。請求理由を詳細かつ具体的に記載する必要があります。
2. 請求者の本人確認書類運転免許証、マイナンバーカードなど。
3. 請求者と除票の対象者との利害関係を証明する書類(疎明資料)最も重要。請求理由により、提出すべき書類が異なります。
4. 手数料各自治体により異なりますが、概ね300円程度。

4|【ケース別】利害関係人による請求時の疎明資料リスト

請求理由と、それを証明するための「疎明資料」の組み合わせが重要です。主なケースを見ていきましょう。

ケース① 亡くなった方の相続人として請求する場合(死亡除票)

請求理由疎明資料の例
故人の遺産相続手続きのため故人との関係がわかる戸籍謄本(除票の請求者が相続人であることを示すもの)、 遺産分割協議書(手続きに使用することがわかる書類)
年金裁定請求のため年金事務所からの通知書請求書など

ケース② 債権・債務の履行のために請求する場合

請求理由疎明資料の例
賃貸借契約の当事者として、相手方の所在確認のため賃貸借契約書の写し、相手方に送付した配達証明付き郵便の不着証明など
裁判の訴訟提起のため、相手方の住所確認が必要訴状の写し裁判所からの通知書など

【注意】疎明資料のポイント

  • 単に「相続のため」「裁判のため」と書くだけでは不十分です。
  • 誰が(請求者)、誰に(除票の対象者)、なぜ(権利行使・義務履行)、その除票が必要なのか」を第三者が客観的に判断できるように、明確な書類を提出する必要があります。
  • 書類が不足していると判断された場合、交付を拒否されることがあります。

疎明書類に関しては、市町村によって求められる資料が異なる場合があるため、事前に窓口に問い合わせておきましょう。

5|住民票の除票の取得手続きの具体的な流れ

住民票の除票は、対象者が最後に住民登録をしていた市区町村役場で請求します。

ステップ1:請求先を確認する

  • 請求先は、除票の対象者が転出または死亡する直前に住んでいた市区町村の役場です。
    現在住んでいる場所の役場ではない点に注意しましょう。

ステップ2:必要書類を準備する

  • 「請求できる人」と「本人以外が請求する際の必要書類」を参照し、ご自身の立場に応じた書類を漏れなく準備します。
  • 特に利害関係人として請求する場合は、疎明資料の抜けがないか入念にチェックしてください。

ステップ3:窓口で申請書を記入する

  • 市区町村役場の住民票担当窓口(市民課など)へ行き、「住民票の写し等交付申請書」を入手し、記入します。
  • 記入項目には、除票の対象者の情報(氏名、生年月日、旧住所)のほかに、請求者自身の情報請求理由があります。
  • 除票には、本籍続柄の記載を「省略しない」選択もできますが、死亡によって削除された場合原則としてこれらの記載は省略されます。記載が必要な場合は窓口に申し出ましょう。

ステップ4:書類を提出し、手数料を支払う

  • 申請書と準備した必要書類、本人確認書類を提出します。
  • 窓口の担当者が書類を確認し、交付の可否を判断します。
  • 交付が認められれば、手数料(概ね300円)を支払い、除票の写しを受け取ります。

6|請求時の重要な注意点

注意点1:除票の「保存期間」に要注意

住民票の除票には、法令に基づく保存期間があります。

かつては除票の保存期間は5年でしたが、法改正により、現在は150年に延長されています。ただし、法改正以前(2019年6月19日以前)に保存期間(5年)が経過し、すでに廃棄されている除票は再交付できません

【重要】

  • 2019年6月20日以降に消除された除票:取得可能(保存期間150年)
  • 2019年6月19日以前に消除され、すでに保存期間5年を過ぎて廃棄されている除票:取得不可

古い除票が必要な場合は、事前に役場に電話で確認することをおすすめします。

注意点2:マイナンバー(個人番号)の記載について

住民票の除票には、原則としてマイナンバー(個人番号)は記載されません。これは、除票の対象者本人が亡くなっている、または転出しているためです。

7|よくある質問(FAQ)

Q1. 住民票の除票は全国どこの役所でも取得できますか?

A. いいえ、できません。住民票の除票は、除票の対象者が最後に住民登録をしていた市区町村役場でのみ取得できます。広域交付制度の対象外ですので、必ず本籍地ではなく、最後の住民登録地の役所に請求してください。

Q2. 郵送で請求することはできますか?

A. はい、ほとんどの市区町村で郵送による請求が可能です。郵送で請求する場合は、以下のものを同封する必要があります。

  1. 交付申請書(ウェブサイトからダウンロード)
  2. 本人確認書類のコピー
  3. 返信用封筒(切手を貼り、宛名を記入したもの)
  4. 手数料(定額小為替で準備)
  5. 委任状や疎明資料(該当する場合)

郵送での請求は、往復の郵送期間がかかるため、時間に余裕をもって手続きしましょう。
どの市町村でも同封物は同じの場合が多いですが、念のため郵送前に問い合わせることをおすすめします。

Q3. 利害関係人として請求する場合、本籍や続柄の記載はしてもらえますか?

A. 原則として、利害関係人による請求の場合、本籍や続柄の記載は省略されます。これは、個人情報保護の観点から、請求目的に必要のない情報の開示を制限するためです。これらの情報が必要な場合は、事前に窓口に申し出ましょう。

Q4. 住民票の除票に有効期限はありますか?

A. 公的なルールとしての有効期限はありませんが、提出先(金融機関、年金事務所など)によっては「発行から3ヶ月以内」など、独自の提出期限を設けている場合があります。提出先に事前に確認することをおすすめします。

8|まとめ:スムーズな取得のために

住民票の除票は、普段あまり危機馴染みのない書類ですが、人生の節目や重要な手続きに欠かせない公的書類です。特に「本人以外」が請求する際には、請求者の立場(代理人か利害関係人か)を明確にし、それに応じた必要書類(特に委任状や疎明資料)を完璧に揃えることが、スムーズに取得するための最大の鍵となります。

この記事で解説した内容を参考に、住民票の除票を取得しましょう。不明点があれば、請求先の市区町村役場に事前に問い合わせるのが最も確実な方法です。

弊所のご紹介

弊所は各種許認可に特化した行政書士事務所です。
行政書士は、職権で「住民票の除票」を代理人として取得することが可能です。自動車の登録等で必要となった際には代理で取得することも可能です。(除票の取得のみはできず、業務の一環として取得が可能です。)是非ご相談ください。

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