農地転用許可申請にかかる費用っていくら?行政書士が徹底解説!農地法4条・5条
農地転用許可申請にかかる費用っていくら?行政書士が徹底解説!農地法4条・5条

こんにちは。行政書士の茂木です。「所有している農地を駐車場や宅地に変えたい」「農地を購入して住宅を建てたい」
といったご要望をお持ちで、農地転用を検討されている方は多いでしょう。しかし、農地の転用には農地法に基づく許可(または届出)が必要です。
この記事では、これから農地転用許可申請(農地法4条・5条)を考えている方のために、「一体、いくらかかるの?」という最も気になる費用について、行政書士が詳しく、そして正直にお伝えします。
そもそも農地転用とは?農地転用の基本について解説した記事はこちら→「農地転用」ってなに?基本から手続きまで、初めてでもわかる解説ガイド
結論から申し上げると、農地転用許可申請には、大きく分けて3つの費用がかかります。
- 実費・諸経費(申請に必須の費用)
- 測量費用(必要な場合のみ)
- 行政書士への報酬(依頼する場合のみ)
多くの方が誤解している「申請手数料」についても解説しますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
1|最も重要なポイント!農地転用許可申請に「申請手数料」は原則かかりません

まず、最初に知っておいていただきたい基本的な原則があります。
【原則】農地転用許可申請(農地法4条・5条)の申請手数料は無料です
これは、都市計画法に基づく開発許可申請などのように、自治体に対して支払う「申請手数料(または証紙代)」が、農地法による許可申請には原則として設定されていないからです。
したがって、「申請書を役所に提出するだけで〇〇円かかる」といった費用は基本的にありません。
ただし、例外的に手数料が発生する場合があります。市街化区域内の農地で「届出」をする場合など、自治体によっては「届出受理済証明書」の発行に数百円程度の少額の手数料を定めていることがある程度です。これは審査自体にかかる費用ではないため、ここでは「原則無料」として解説を進めます。
2|申請に必須の費用!必ずかかる「実費・諸経費」を詳しく解説

申請手数料が無料だからといって、「費用はゼロ」というわけではありません。許可申請書に添付するために、必ず取得しなければならない公的な書類があり、それらの取得には費用がかかります。
これらは、ご自身で申請する場合でも、行政書士に依頼した場合でも、必ず発生する「実費・諸経費」です。
1. 公図(字図)の取得費
- 費用目安:1筆あたり 450円~500円程度
- 取得先:法務局
農地の地番、隣接地の状況、道路との位置関係などを確認するために必要な図面です。申請対象の農地だけでなく、隣接する土地についても必要になる場合があります。法務局の窓口やオンラインで取得できます。
※インターネットの「登記情報提供サービス」というサービスで、データを取得し印刷することもできますが、申請には法務局で取得する「公図の写し」のみしか認めていない自治体も多いため、注意が必要です。
2. 登記事項証明書(登記簿謄本)の取得費
- 費用目安:1通あたり 480円~600円程度
- 取得先:法務局
農地の所有者、地目(田、畑など)、地積(面積)を確認するために必要です。法務局で「登記事項証明書(全部事項証明書)」を取得します。オンライン請求のほうが窓口での請求より安価です。
※登記事項証明書も、インターネットの「登記情報提供サービス」というサービスで、データを取得し印刷することもできますが、申請には法務局で取得する「登記事項証明書」のみしか認めていない自治体も多いため、注意が必要です。
3. 現況確認のための公的書類
- 費用目安:1通あたり 200円~300円程度
- 取得先:市区町村役場
具体的には、「固定資産税の課税台帳登録事項証明書(名寄帳)」や、「公課証明書」などです。
4. 住民票、印鑑証明書の取得費
- 費用目安:1通あたり 200円~400円程度
- 取得先:市区町村役場
申請者が個人の場合、これらの書類が必要になります。
5. 土地改良区の意見書発行手数料(必要な場合)
- 費用目安:数千円〜1万円程度
- 取得先:土地改良区
農地が土地改良区の区域内にある場合、土地改良区の意見書を添付する必要があります。この意見書の発行には、土地改良区によって数千円〜1万円程度の費用がかかることがあります。これは実費の中でも比較的高額になる可能性があります。
※農地転用の際には土地改良区を脱退するという形になりますが、地域によっては決済金を支払わなければならない場合もあります。かなり高額になる場合もあるため、土地改良区に事前に確認をしておきましょう。
土地改良区について解説した記事はこちら→農地転用と土地改良区:賢く手続きを進めるためのガイド
| 実費・諸経費の例 | 費用の目安 | 取得先 |
| 登記事項証明書 | 480円~600円/通 | 法務局 |
| 公図(字図) | 450円~500円/筆 | 法務局 |
| 住民票/印鑑証明書 | 200円~400円/通 | 役場 |
| 土地改良区意見書 | 数千円~1万円程度 | 土地改良区 |
実費の総額目安は、農地の筆数や土地改良区の有無によって異なりますが、概ね 5,000円〜20,000円程度 を見ておくと良いでしょう。
ただし、決済金が発生する場合は大きく変わる可能性があります。例(1000㎡の場合)1㎡あたり150円×1000(㎡)=150000円※あくまでも一例です。土地改良区によって1㎡あたりの金額も異なります。
3|状況により発生する費用:測量費用と行政書士報酬

以下の費用は、すべての申請者に発生するわけではありません。ご自身の申請状況に応じて発生の有無が分かれます。
1. 測量費用(土地家屋調査士への報酬)
土地の境界が不明確な場合や、転用する部分だけを分筆(1つの土地を複数に分割すること)する必要がある場合、土地家屋調査士による測量が必要になります。
測量費用の一般的な相場
測量費用は、土地の形状、面積、隣接地の立ち合いの難易度などによって大きく異なります。
- 分筆を伴う測量(境界確定測量):30万円〜80万円程度
分筆登記が必要なケースでは、行政書士への報酬よりも測量費用の方が高額になることが一般的です。農地の売買を伴う5条申請で、土地の一部だけを転用・売買する場合は、この分筆測量がほぼ必須となります。
- 測量の必要性
- 農地の一部だけを転用・売買する場合(5条申請):分筆登記が必要なため、測量がほぼ必須。
- 農地全体を転用する場合(4条・5条):公図上の境界が明確であれば不要なこともありますが、隣地とのトラブルを避けるために行うケースもあります。
2. 行政書士報酬(専門家への依頼費用)
農地転用許可申請は、添付書類が多く、また農業委員会との事前相談や調整が必要な複雑な手続きです。そのため、手間をかけたくない、確実に許可を取得したいという方は、専門家である行政書士に依頼します。
ご自身で全ての書類を作成・提出される場合は、この費用はかかりません。
行政書士報酬の一般的な相場
行政書士の報酬は、法律で一律に定められておらず、各事務所が自由に設定しています。また、申請の難易度(農地の場所、面積、転用目的、申請者の状況など)によって大きく変動します。
| 申請の種類 | 報酬の相場目安 | 備考 |
| 農地法4条許可申請 | 10万円〜15万円程度 | 自己所有農地の転用 |
| 農地法5条許可申請 | 10万円〜15万円程度 | 権利移動(売買等)を伴う転用 |
| 市街化区域内 届出 | 5万円~7万円程度 | 許可申請よりも手続きが簡素 |
※上記はあくまで目安です。農業振興地域内の農地などは難易度が高く、報酬が高くなることがあります。
依頼前に確認すべき重要事項
行政書士に依頼する際は、必ず事前に無料相談と見積もりを取りましょう。
- 業務の範囲:現地調査、図面作成、農業委員会との事前協議、本申請、許可証受領など、どこまでが報酬に含まれているかを確認してください。
- 不許可時の対応:万が一、申請が不許可になった場合の報酬の取り扱い(返金規定)についても確認しておくと安心です。
4|【まとめ】農地転用許可申請にかかる費用の全体像

農地転用許可申請にかかる費用を総合的にまとめると以下のようになります。
| 費用の種類 | 費用の発生有無 | 費用の目安 | 備考 |
| 申請手数料 | 原則なし(無料) | 0円 | 自治体への審査費用はかかりません |
| 実費・諸経費 | 必ず発生 | 5,000円〜20,000円程度 | 公図、登記、住民票、土地改良区意見書など |
| 行政書士報酬 | 依頼した場合のみ | 10万円〜35万円程度 | 申請の種類や難易度により変動 |
| 測量費用 | 分筆等が必要な場合 | 30万円〜80万円程度 | 土地家屋調査士への報酬。最も高額になる可能性あり |
費用の総額シミュレーション
| ケース | 費用の総額目安 |
| A. 自力で申請し、測量も不要な場合 | 5,000円〜20,000円程度(実費のみ) |
| B. 行政書士に依頼し、測量も不要な場合 | 10万円〜37万円程度(実費+報酬) |
| C. 行政書士に依頼し、測量も必要な場合 | 40万円〜100万円以上(実費+報酬+測量費) |
農地転用許可申請の最大の難関は、膨大な書類作成と、行政機関との調整です。ご自身の時間や労力、そして許可が下りなかった場合の機会損失を考慮すると、専門家へ依頼する費用は、「安心と確実性への投資」と考えることもできます。
まずは、ご自身の農地がどの区域にあるか、また分筆が必要かどうかを確認し、費用を明確にすることから始めましょう。
農地転用許可申請に関するご不明点やご相談がありましたら、いつでもお気軽に弊所へご相談ください。
弊所のご紹介
弊所は各種許認可に特化した行政書士事務所です。
農地転用許可も取扱っております。ご相談は無料で承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
弊所では、下記の費用で農地法関係の許可・届出の代行を行っております。
まずは「自分にはどの申請が必要なのか」初めての方は分からないかと思います。是非弊所にご相談くださいませ。
| 農地法第3条(届出・許可)※農地の権利移転を行う場合 | 届出20,000円・許可45000円(税別) |
| 農地法第4条(届出・許可)※農地を転用する場合 | 届出40,000円・許可80,000円(税別) |
| 農地法第5条(届出・許可)※農地の転用+権利の設定・移転 | 届出45,000円・許可90,000円(税別) |
| 農用地除外申出(農振除外申請) | 110,000円(税別) |


