建設業許可の変更届、これで完璧!決算変更届との違いと必要書類
建設業許可の変更届、これで完璧!決算変更届との違いと必要書類
建設業許可を取得した事業者の皆様、許可を維持するためには、決算変更届と変更届という二つの重要な手続きを適切に行う必要があります。これらは似ているようで全く異なる目的と内容を持つため、混同すると大きなトラブルにつながりかねません。

この記事では、この二つの届出の明確な違いから、それぞれの手続きに必要な書類、そして提出を怠った場合に何が起こるのかまで、詳しく解説します。
1:決算変更届と変更届:根本的な違いを理解する
まず、両者の違いを理解するために、それぞれの目的と提出タイミングを把握しましょう。
決算変更届(事業年度終了届)とは
決算変更届は、事業年度終了届や変更届出書とも呼ばれます。その名の通り、事業者が毎事業年度の終了後に提出する書類です。この届出の主な目的は、事業者の経営状況と工事実績を許可行政庁に定期的に報告することにあります。
- 目的: 経営能力、財産的基礎、工事施工能力の継続的な確認
- 提出タイミング: 事業年度終了後、原則として4ヶ月以内に提出が義務付けられています。
この手続きは、いわば健康診断のようなものです。行政が定期的に会社の財務状況や活動内容をチェックすることで、建設業の適正な運営を確保しているのです。
変更届とは
一方、変更届は、許可申請時に届け出た事項に変更が生じた際に、その都度提出する書類です。これは定期的な報告ではなく、何か変更があったときに随時行う手続きです。
- 目的: 許可情報の常に最新の状態への更新
- 提出タイミング: 変更の事実から2週間以内(役員変更など一部は30日以内)に提出。
変更届は、事業者の最新のプロフィールを行政に知らせるためのものです。例えば、会社の住所が変わった、役員が変わった、資本金が増えたといった、事業者の基本的な情報に変更が生じた場合に提出します。
2:決算変更届に必要な書類【一覧】
決算変更届は、事業者の経営状況と工事実績を証明するための書類一式を提出します。漏れがないように準備しましょう。
1. 財務諸表関連書類
事業年度末時点での会社の財務状態を示す、最も重要な書類です。
- 貸借対照表: 会社の資産、負債、純資産の状況
- 損益計算書: 事業年度の収益と費用の内訳
- 完成工事原価報告書: 完成した工事の原価の内訳
- 株主資本等変動計算書
- 注記表: 財務諸表の補足説明
- 付属明細表
これらの書類は、税理士に作成を依頼することが一般的です。
※ただ、一部は建設業法に沿った形に作り直す必要があるため注意が必要です
2. 工事経歴書
事業年度中に完成したすべての請負工事について詳細を記載します。
未完成の工事に関しても記載する必要があります。
※工事名、発注者名、請負代金、工期などを記載
3. その他
- 納税証明書: 法人事業税の納税証明書
- 建設業法第26条の3第1項の規定による書面: 専任技術者の雇用状況などを確認するための書類。
- 直前3年の各事業年度における工事施工金額
- 事業報告書
3:変更届に必要な書類【ケース別】
変更届の必要書類は、変更内容によって大きく異なります。以下に代表的なケースと必要書類をまとめました。
ケース1:会社名・屋号の変更
- 変更届出書
- 登記事項証明書
ケース2:資本金の変更
- 変更届出書
- 登記事項証明書
- 株主調書
ケース3:常勤役員等の変更
- 変更届出書
- 役員等の一覧表
- 常勤役員等証明書
- 常勤役員等の略歴書
- 前任者及び新任者の確認資料
- 交代日における継続性確認のための資料
ケース4:代表者の変更
- ・変更届出書
- ・常勤役員等(経営業務の管理責任者等)
- ・常勤役員等の略歴書
- ・経営業務管理責任者の健康保険証の写し
- ・経営業務管理責任者としての経験確認資料
ケース5:専任技術者(専技)の変更
- 変更届出書
- 専任技術者一覧表
- 専任技術者証明書
- 技術者の要件を称する書類
- 前任者及び新任者の確認資料
- 新任者の技術者要件の確認資料
4:届出を怠るとどうなる?そのリスクとは

決算変更届も変更届も、提出を怠ることは建設業法違反となり、以下のような厳しい結果を招く可能性があります。
1. 許可の更新ができない
決算変更届を提出していないと、5年ごとの許可更新申請を受け付けてもらえません。これは、過去の経営状況が不明なため、行政が許可要件を満たしているか判断できないからです。
2. 営業停止処分・許可の取り消し
悪質なケースでは、営業停止処分や許可の取り消し処分を受ける可能性があります。特に、経管や専技の不在は、許可要件を欠く状態とみなされ、即座に許可取り消しの対象となることがあります。
3. 罰則
建設業法には罰則規定があり、違反者には懲役や罰金が科される場合があります。
5:まとめ

建設業許可における決算変更届と変更届は、それぞれ異なる目的と提出タイミングを持つ重要な手続きです。
- 決算変更届: 毎事業年度の終わりに、会社の経営状況と工事実績を報告する定期的な手続き。
- 変更届: 許可情報に変更が生じた際に、その都度提出する随時的な手続き。
どちらの届出も、許可を維持し、健全に事業を継続するために不可欠なものです。特に、経管や専技といった重要な人物に変更があった場合は、速やかに変更届を提出することが何より重要です。
適切なタイミングで、適切な届出を提出し、建設業許可を確実に維持していきましょう。