電気通信工事業とは?どんな工事の内容が当てはまる?建設業許可取得に役立つ資格も併せて解説!
電気通信工事業とは?どんな工事の内容が当てはまる?建設業許可取得に役立つ資格も併せて解説!

「電気通信工事業って、具体的にどんな工事を指すの?」と疑問に思っていませんか?建設業許可を取得するためには、まず事業内容を正しく理解することが不可欠です。この記事では、電気通信工事業の定義から、具体的な工事内容、そして許可取得に役立つ資格まで、初心者の方にも分かりやすく解説します。
これから電気通信工事業の建設業許可を取得しようとお考えの方のお役に立てれば幸いです。
目次
1. 電気通信工事業とは?その定義と他の工事との違い
電気通信工事業は、有線電気通信設備、無線電気通信設備、ネットワーク設備、情報設備、放送機械設備等の電気通信設備を設置する工事を指します。具体的には、電話やインターネット、テレビ、監視カメラといった通信機能を持つ設備を、建物内や屋外に設置する工事全般が該当します。
この事業を理解する上で重要なのは、「電気工事」との違いです。電気工事は、発電設備や送電設備、変電設備、照明設備など、電気そのものを扱う設備の工事を指します。一方で、電気通信工事は、電気を利用して情報をやり取りする「通信」に特化した設備を扱います。
例えば、建物のコンセントを設置するのは電気工事ですが、そこに電話回線を引くのは電気通信工事です。両者は密接に関連していますが、建設業法上は異なる業種として区分されています。そのため、電気工事と電気通信工事の両方を行う場合は、それぞれの許可を取得する必要があります。
1-1. 電気通信工事の具体例:どんな工事が該当する?
電気通信工事業に該当する工事は、専門性の高い分野に細かく分かれています。主な例を見ていきましょう。
- 電気通信線路設備工事:
- 光ファイバーケーブルを敷設・接続する工事です。電柱への架設や地中への埋設など、通信ネットワークの基盤を構築します。
- 電気通信機械設置工事:
- 電話交換機やルーター、スイッチングハブなどの通信機器を設置・設定する工事です。オフィスやデータセンターの通信環境を整えます。
- 放送機械設置工事:
- ラジオやテレビの放送局設備、CATV(ケーブルテレビ)の受信・伝送設備などを設置する工事です。
- 空中線設備工事:
- テレビやラジオのアンテナ、携帯電話の基地局アンテナなどを設置する工事です。電波の送受信を可能にするための重要な作業です。
- データ通信設備工事:
- コンピュータネットワークを構築するためのLANケーブル配線や、サーバー、ネットワーク機器の設置工事です。
- 情報制御設備工事:
- ビルの空調や照明、エレベーターなどをコンピュータで集中管理するシステムの設置工事です。ビルオートメーション(BA)システムなどがこれにあたります。
- TV電波障害防除設備工事:
- 高層ビル建設などにより発生するテレビ電波の受信障害を防ぐための共同アンテナや増幅器の設置工事です。
これらの工事は、現代社会の情報通信インフラを支える上で欠かせないものばかりです。特にIoT(モノのインターネット)やスマートシティの進展に伴い、電気通信工事業の需要は今後ますます高まっていくでしょう。
2. 建設業許可取得のプロセス

電気通信工事業を営む上で、建設業許可はなぜ必要なのでしょうか?
2-1. なぜ建設業許可が必要なのか?
建設業許可は、請負金額が500万円以上の工事を請け負う場合に必須となります。500万円未満の工事であれば、許可がなくても事業を営むことは可能です。しかし、許可を取得することで、以下のような大きなメリットがあります。
- 社会的信用の向上: 許可を持つことで、企業としての信頼性が高まり、大規模な工事や公共工事の受注につながります。
- 融資や補助金の取得: 許可が融資の条件となるケースも多く、事業拡大のチャンスが広がります。
- 法令遵守: 違法な工事を未然に防ぎ、健全な経営を実現します。
事業規模を拡大し、安定した経営を目指すなら、建設業許可の取得は不可欠と言えるでしょう。
2-2. 建設業許可取得の要件
建設業許可を取得するためには、いくつかの厳しい要件をクリアしなければなりません。主な要件は以下の通りです。
- 経営業務の管理責任者(経営管理責任者)の設置: 会社の経営を適切に管理できる人物を置く必要があります。
- 専任技術者の設置: 工事に関する専門知識や実務経験を持つ技術者を営業所ごとに配置する必要があります。
- 誠実性の要件:誠実性があること。
- 財産的基礎の要件: 事業を継続するだけの財産があること。(一般建設業の場合、自己資本が500万円以上など)
- 欠格要件に該当しないこと: 過去に許可を取り消されたり、罰金刑を受けていないことなど。
この中で、特に「専任技術者」の要件が、多くの事業者にとって最初のハードルとなります。次項で解説する資格は、この専任技術者の要件を満たすために非常に有効です。
別記事:専任技術者の要件について分かりやすく解説
3. 建設業許可取得に役立つ資格

建設業許可の取得、特に専任技術者の要件を満たす上で、特定の資格を持っていると非常に有利になります。実務経験を証明するよりも、資格があればスムーズに申請が進むケースが多いです。
3-1. 電気通信工事の許可に役立つ国家資格
電気通信工事業の専任技術者になるために有効な主な資格は以下の通りです。
- 電気工事士:
- 資格概要: 電気工事に従事するための国家資格です。第一種と第二種があります。
- 技術士「電気電子・総合技術監理(電気電子)」:
- 資格概要: 高度な専門知識と応用能力を証明する国家資格です。
- 登録電気工事基幹技能者
- 資格概要: 建設業の「登録基幹技能者講習」を修了した者を指し、熟練した現場作業能力と、施工管理、工程管理、原価管理などのマネジメント能力を併せ持つ現場のリーダーです。
別記事:技術士について解説
- 資格概要: 建設業の「登録基幹技能者講習」を修了した者を指し、熟練した現場作業能力と、施工管理、工程管理、原価管理などのマネジメント能力を併せ持つ現場のリーダーです。
- 電気通信主任技術者:※専任技術者の要件を満たすためには、加えて5年の実務経験が必要です。
- 資格概要: 電気通信設備の工事、維持、運用を監督するための国家資格です。
- 工事担任者:※専任技術者の要件を満たすためには、加えて3年の実務経験が必要です。
- 資格概要: 電気通信回線と端末設備などを接続する工事を行うための国家資格です。
4. まとめと今後の展望

この記事では、電気通信工事業の定義から、許可取得の重要性、そして役立つ資格までを解説しました。
- 電気通信工事業は、電話やインターネット、放送など、「通信」に特化した設備の工事です。
- 建設業許可は、事業規模を拡大し、信用を高めるために不可欠なものです。
- 電気通信主任技術者や電気工事士などの資格は、専任技術者の要件を満たす上で非常に有利に働きます。
建設業許可の取得は、あなたの事業を次のステージへと押し上げる大きな一歩です。難しく感じるかもしれませんが、専門家である行政書士に相談することも一つの手です。電気通信工事業の建設業許可を取得して、事業のさらなる拡大を目指しましょう。