造園工事業とは?どんな工事の内容が当てはまる?建設業許可取得に役立つ資格も併せて解説!
造園工事業とは?どんな工事の内容が当てはまる?建設業許可取得に役立つ資格も併せて解説!

建設業許可の取得を検討されている皆さん、ご自身の事業がどの業種に当てはまるのか、許可取得にはどんな要件が必要なのか、お悩みではないでしょうか?この記事では、造園工事業に焦点を当て、その具体的な工事内容から、許可取得に役立つ資格まで、初心者の方にもわかりやすく徹底的に解説します。これから造園工事業の建設業許可を取得しようとお考えの方のお役に立てられれば幸いです。
造園工事業とは?その役割と重要性
造園工事業とは、庭園や公園、緑地などを造成、整備する工事を専門に行う事業です。単に植物を植えるだけでなく、景観を美しく保ち、人々に安らぎと潤いを提供することを目的とします。
造園工事業の主な役割は以下の通りです。
- 景観の創出と保全: 公園、庭園、街路樹などを通じて、都市や地域の景観を美しく、魅力的なものにします。
- 環境の改善: 樹木や緑地は、大気汚染の浄化、ヒートアイランド現象の緩和、生物多様性の保全など、環境改善に大きく貢献します。
- 空間の有効活用: 屋上緑化や壁面緑化など、限られた都市空間を有効活用し、緑豊かな環境を創り出します。
造園工事業は、人々の生活に密着した、社会的に非常に重要な役割を担っています。
造園工事業に該当する具体的な工事内容
建設業法では、造園工事業について以下のように定義されています。
「整地、樹木の植栽、景石のすえ付け等により庭園、公園、緑地等の苑地を築造し、道路、建築物の屋上等を緑化し、又は植生を復元する工事」
これだけではイメージしにくいかもしれませんので、具体的な工事内容を掘り下げてみましょう。
植栽工事
樹木や草花を植え付け、移植する工事です。一般的に、造園工事とも呼ばれます。
地被工事
地面を芝やグランドカバープランツ(地面を覆う植物)で覆う工事です。これにより、見た目が良くなったり、照り返しを防ぐ効果が期待できます。
景石工事
庭園や公園内に、景観のアクセントとなる石(景石)を据え付けたりする工事です。
地ごしらえ工事
木を伐採した後などに、植栽する場所を整備するために、残った木や草、雑草などを片付けたり整理したりする工事です。
公園設備工事
公園内の遊具、ベンチ、水飲み場、緑地など、利用者が快適に過ごすための設備を設置する工事です。
広場工事
公園や公共施設内に、多目的に利用できる広場を造成する工事です。舗装、排水設備の設置なども含まれます。
園路工事
公園や庭園内の散策路や通路を整備する工事です。レンガ、石、砂利、コンクリートなど様々な素材が用いられます。
水景工事
噴水、人工の滝、池、せせらぎなど、水を活用した造形物を作る工事です。給排水設備や循環装置の設置も含まれます。
屋上等緑化工事
建物の屋上や壁面を緑化する工事です。環境保護や省エネルギーの観点から、都市部でますます重要視されています。
緑地育成工事
植栽された樹木や草花の健全な生育を促すための維持管理工事です。土壌改良や支柱の設置なども行います。
造園工事業の許可を取得するメリット
建設業許可を取得することは、事業の信頼性を高め、拡大するために不可欠です。造園工事業の許可を取得することで、以下のようなメリットがあります。
- 500万円以上の工事を請け負える: 建設業許可がない場合、請け負える工事の金額は税込500万円未満に制限されます。許可を取得すれば、金額の制限なく工事を請け負うことができます。
- 社会的信用の向上: 許可業者は、厳しい要件(経営業務の管理責任者、専任技術者、財産的基礎など)を満たしていることが公的に認められるため、元請け業者や発注者からの信頼が向上します。
- 公共工事への参入: 許可業者でなければ、公共工事の入札に参加することはできません。事業拡大を目指すなら必須のステップです。
建設業許可(造園工事業)取得に役立つ資格

建設業許可を取得するためには、「専任技術者」の要件を満たす必要があります。この要件を満たすには、特定の資格を保有するか、一定の実務経験があることが求められます。別記事:専任技術者の要件を分かりやすく解説
造園工事業の専任技術者になるために役立つ資格は以下の通りです。
国家資格
- 一級造園施工管理技士
- 二級造園施工管理技士
造園工事全般の施工計画や工程管理を行うための国家資格です。特に、1級造園施工管理技士は、造園工事業の特定建設業許可の専任技術者になることもできます。 - 技術士 建設・総合技術監理(建設)
- 技術士 建設「鋼構造及びコンクリート」・総合技術監理(建設「鋼構造及びコンクリート」
- 技術士 森林「林業」・総合技術監理(森林「林業」)
- 技術士 森林「森林土木」・総合技術監理(森林「森林土木」)
科学技術に関する高度な知識と応用能力が認められる国家資格です。別記事:技術士について解説
技能検定
技能検定に合格することで、専任技術者となることも可能です。別記事:建設業の技能検定の種類を解説
- 造園: 造園工事の施工に関する技能を評価する国家検定です。
- 1級
- 2級: 合格後、3年以上の実務経験があれば専任技術者になることができます。
登録基幹技能者
登録基幹技能者は、熟練した技能と豊富な知識を持つ建設現場のリーダーのことです。特定の建設分野で優れた技能を持ち、現場の職長として作業員を指揮・指導するだけでなく、施工計画の策定や品質・安全管理といった施工管理業務も担当します。※国家資格ではありません。
- 登録造園基幹技能者
- 登録運動施設基幹技能者
資格がない場合の実務経験
もし上記の資格がなくても、10年以上の造園工事に関する実務経験があれば、専任技術者となることができます。ただし、その実務経験を証明する資料(工事請負契約書、請求書など)を揃える必要があるため、日頃から書類をしっかりと管理しておくことが大切です。
【ポイント】 建設業許可は、経営業務の管理責任者(通称「経管」)の要件も満たす必要があります。一般的には、法人の役員や個人事業主として建設業を5年以上経験した人が該当します。これらの要件をすべてクリアして初めて、申請が可能になります。
5. まとめ|建設業許可取得への第一歩を踏み出そう

造園工事業は、人々の暮らしに安らぎと潤いをもたらす、やりがいのある事業です。
今回の記事では、造園工事業の概要から、具体的な工事内容、そして許可取得に役立つ資格まで詳しく解説しました。
- 造園工事業: 庭園、公園、緑地などを造成・整備する工事。
- 工事内容: 植栽工事、景石工事、緑地育成工事など多岐にわたる。
- 許可のメリット: 500万円以上の工事が可能になり、社会的信用も向上。
- 許可の要件: 経営業務の管理責任者と専任技術者の両方を満たす必要がある。
- 専任技術者: 造園施工管理技士などの国家資格、または10年以上の実務経験が必要。
建設業許可の取得は、事業の未来を大きく左右する重要なステップです。この記事を参考に、ご自身の事業が造園工事業に該当するかどうかを確認し、許可取得への準備を始めてみましょう。もし、どの業種に当てはまるか判断に迷う場合は、専門の行政書士に相談することをおすすめします。造園工事業の建設業許可を取得して、事業のさらなる拡大を目指しましょう。