飲食店営業許可はテイクアウトだけなら不要?許可と申請のポイントを徹底解説
飲食店営業許可はテイクアウトだけなら不要?許可と申請のポイントを徹底解説

「テイクアウト専門のお店だから、飲食店営業許可は要らないのでは?」
そうお考えの方、それは大きな誤解です。結論から言うと、テイクアウトのみの営業でも、原則として飲食店営業許可が必要です。
「でも、なぜ?」「どうすればいいの?」そんなあなたの疑問を解決するために、この記事ではテイクアウトと飲食店営業許可の切っても切れない関係を徹底解説します。この記事を読めば、あなたのビジネスに最適な許可が分かり、安心して開業準備を進められます。
目次
なぜテイクアウトでも飲食店営業許可が必要なのか
まず、なぜテイクアウト専門のビジネスに許可が必要なのかを理解しましょう。その理由は、食品衛生法にあります。
食品衛生法は、食中毒などの危害を未然に防ぎ、国民の健康を守るための法律です。この法律は、食品の「調理」や「提供」を行うすべての事業者を対象としており、お客さんがその場で食事をするか、持ち帰って食べるかは関係ありません。
無許可で営業した場合、罰金や営業停止命令などの重いペナルティが科される可能性があります。あなたのビジネスを安全かつ合法的に運営するためにも、正しい知識を持つことが非常に大切です。
飲食店営業許可と菓子製造業許可の決定的な違い

テイクアウトで販売する食品の種類によっては、「飲食店営業許可」ではなく、「菓子製造業許可」が必要になる場合があります。この二つの許可の違いを理解することが、適切な許可を取得する鍵となります。
飲食店営業許可 | 菓子製造業許可 | |
対象となる行為 | 調理した食品を「その場で食べさせる」こと。テイクアウトやデリバリーも含まれる。 | 製造したお菓子を「包装して販売」すること。 |
主な例 | 弁当、カレー、ラーメン、パンケーキなど、すぐに消費されることを前提とした食品。 | クッキー、マフィン、ケーキ、パンなど、日持ちする食品。 |
施設の基準 | 調理場、客席、手洗い設備など。調理したものを客に提供するための設備が必要。 | 菓子製造専用の区画や設備が必要。 |
どちらの許可が必要かは、あなたのビジネスモデルによって決まります。具体例を見ていきましょう。
あなたはどちらの許可が必要?ケース別解説
あなたのビジネスは、どのケースに当てはまりますか?
ケース1:テイクアウト専門の弁当店やデリバリーキッチン
- 必要な許可: 飲食店営業許可
調理した弁当や丼ものをその場で提供し、お客さんが持ち帰って食べるという形態は、まさに「調理した食品を提供すること」に該当します。たとえ客席がなくても、この許可が必要です。キッチンカーで調理・販売する場合も、同じ許可が必要になります。
ケース2:事前に包装した焼き菓子を販売する店
- 必要な許可: 菓子製造業許可
クッキーやパウンドケーキ、パンなどを製造し、包装して販売する場合は、菓子製造業許可が必要です。この場合、製造場所が専用のキッチンであることや、衛生管理に関する特別な要件を満たす必要があります。
ケース3:イートインもテイクアウトも両方行うカフェ
- 必要な許可: 両方の許可が必要
店内で食事を提供し、かつ日持ちする焼き菓子をテイクアウト販売する場合は、飲食店営業許可と菓子製造業許可の両方を取得する必要があります。それぞれの許可要件を満たす施設を準備しなければなりません。
飲食店営業許可取得までの具体的なステップ

適切な許可が分かったら、いよいよ申請準備です。許可取得までの流れを事前に把握しておきましょう。
ステップ1:保健所に相談する(最も重要)
最初に、必ず管轄の保健所に相談に行きましょう。あなたのビジネスプランを伝え、必要な許可や施設の基準についてアドバイスをもらいます。この段階で、不明点や不安な点をすべて解消しておくことが、スムーズな開業につながります。
ステップ2:申請書類を準備・提出する
保健所の指示に従い、必要な書類を準備します。主な書類は以下の通りです。(群馬県高崎市の場合)
- 営業許可申請書
- 営業施設の構造及び設備を示す図面
- 食品衛生責任者の資格を証明する書類
- 食品衛生管理者選任(変更)届
- 水質検査成績書(井戸水などを利用する場合)
- 調理従事者全員の検便の成績書の写し
- 登記事項証明書(法人の場合)
ステップ3:施設を完成させ、検査を受ける
書類提出後、保健所の担当者による施設の立ち入り検査が行われます。図面通りに施設が作られているか、衛生的な設備が整っているかなどを確認します。
ステップ4:営業許可証を受け取る
検査に合格すれば、晴れて営業許可証が交付されます。これで、安心してビジネスをスタートさせることができます。
まとめ:適切な許可で安心してビジネスを始めよう

「テイクアウトだから」という理由で許可取得を怠ると、大きなリスクを抱えることになります。
- テイクアウトでも、調理した食品を提供する場合は「飲食店営業許可」が必要。
- 事前に包装されたお菓子を販売する場合は「菓子製造業許可」が必要。
- あなたのビジネスモデルを明確にし、まずは管轄の保健所に相談すること。
正しい知識を持ち、適切な許可を取得することが、あなたのビジネスを成功へと導く第一歩です。飲食店営業許可や菓子製造許可を正しく取得して、テイクアウト専門店を始めましょう。