【ゼロからわかる】菓子製造業許可とは?手続きの流れから注意点までを徹底解説!

【ゼロからわかる】菓子製造業許可とは?手続きの流れから注意点までを徹底解説!

「自分で作ったお菓子を誰かに食べてほしい」「趣味の延長でお菓子を販売してみたい」そんな夢をお持ち方、多いのではないでしょうか。しかし、お菓子を販売するには、ほとんどの場合、「菓子製造業許可」が必要です。

「許可って難しそう…」「自宅のキッチンじゃ無理なのかな?」と諦めてしまう前に、この記事を読んでみてください。菓子製造業許可の基本から、申請手続きの流れ、自宅で許可を取る際のポイントまで、専門家である行政書士が解説します。
お菓子販売の夢をお持ちの方の、少しでもお力になることが出来れば幸いです。

菓子製造業許可とは?なぜ必要なの?

菓子製造業許可とは、その名の通り、お菓子を製造して販売するために必要な営業許可のことです。

「趣味で作ったお菓子を、フリマアプリやバザーで売るだけでも必要なの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。結論から言うと、お菓子を製造・販売する場合、菓子製造業許可は必須です。

これは、食品の安全性を確保し、食中毒などの健康被害を防ぐため。消費者が安心して食べられるお菓子を提供できるよう、法律で定められています。許可を取らずに無許可で製造販売を行うと、罰則(懲役や罰金)の対象となる可能性があるため、絶対にやめましょう。

許可が必要になる販売ケースの具体例

  • ネットショップ、SNS、フリマアプリでの販売
  • マルシェやイベントでの販売
  • 実店舗(カフェ、パン屋など)への卸売り
  • 移動販売車での販売

菓子製造業許可取得へのロードマップ

菓子製造業許可の取得は、以下の5つのステップで進めていきます。

  1. 事業計画を立てる
  2. 管轄の保健所に事前相談する
  3. 施設・設備を整える
  4. 必要書類を提出・申請する
  5. 保健所の立ち入り検査を受ける

それぞれのステップを詳しく見ていきましょう。

ステップ1:事業計画を立てる

まず、どんなお菓子を、どこで、誰に販売したいのか、具体的な計画を立てます。この段階で、許可を取得する場所(自宅、賃貸物件など)や、必要な設備投資の概算を考えておきましょう。

特に、自宅で許可を取得する場合、「既存のキッチンを改造するのか」「専用のキッチンを新設するのか」など、具体的な方向性を決めておくことが重要です。

ステップ2:管轄の保健所に事前相談する

事業計画が固まったら、施設を管轄する保健所に相談に行きましょう。これが最も重要なステップです。

なぜなら、許可の基準や必要書類は、地域の条例や保健所によって細かく異なるからです。図面を持っていくと、より具体的なアドバイスをもらえます。この事前相談で、許可取得の可能性や、不足している点などを確認し、手戻りを防ぎましょう。

ステップ3:施設・設備を整える

保健所の指導に基づき、製造施設を整備します。自宅で取得する場合、既存のキッチンとは別に、専用の調理スペースが必要になることが一般的です。

<主な設備基準の例>

  • 専用の調理スペース: 住居スペースと完全に区画されていること。
  • シンク: 「食品用」と「手洗い用」の2つ(またはそれ以上)が必要。シンクの材質や大きさも基準があります。
  • 換気設備: 調理中の蒸気や臭気を排出できる十分な換気扇。
  • 衛生的な床・壁: 清掃しやすい材質で、ひび割れや汚れがないこと。
  • 明るさ: 一定以上の明るさが必要です。
  • 保管設備: 清潔に保管できる設備が必要です。
  • 従業員用トイレ:従業員の応じた数を設ける必要があります。

これらの設備は、中古品やDIYで費用を抑えることも可能です。ただし、必ず事前に保健所に相談し、基準を満たしているか確認しましょう。

ステップ4:必要書類を提出・申請する

施設が完成したら、いよいよ申請です。保健所の窓口で、以下の書類を提出します。(お住いの自治体のウェブサイトをご覧ください)

  • 営業許可申請書
  • 施設の平面図
  • 登記事項証明書(法人の場合)
  • 食品衛生責任者の資格を証明するもの
  • 営業許可申請手数料

これらの書類は、保健所のホームページからダウンロードできることが多いです。記入方法や必要な添付書類についても、事前に保健所に確認しておきましょう。

ステップ5:保健所の立ち入り検査を受ける

申請後、保健所の担当者が実際に施設を訪問し、立ち入り検査を行います。

この検査では、提出した平面図通りに施設が作られているか、衛生管理が徹底されているかなどが細かくチェックされます。検査当日は、担当者の質問に答えられるように、施設の詳細を把握しておきましょう。問題がなければ、後日、営業許可証が交付されます。

3. 自宅で菓子製造業許可を取る際の注意点

自宅で許可を取得する場合、特に注意すべき点がいくつかあります。

1. 生活空間との明確な分離

最も重要なのが、製造スペースと生活スペースを完全に分けることです。

  • 専用の調理室を設ける
  • 調理室への出入り口を分ける
  • 食器や調理器具も専用のものを使用する

など、製造と生活が混在しないように工夫が必要です。

2. 設備投資の費用

自宅での開業は、テナントを借りるよりも初期費用を抑えられますが、それでも数十万円〜100万円単位の費用がかかることがあります。

  • シンクや換気扇の設置工事
  • 壁や床の張替え
  • 専用の冷蔵庫、作業台、調理器具の購入

など、計画段階でしっかり予算を立てておきましょう。

3. 賃貸物件の場合

賃貸物件で許可を取得する場合、大家さんや管理会社の許可が必須です。無許可で改造工事を行うと、トラブルの原因になります。事前に必ず相談しましょう。

知っておきたい!食品衛生責任者とは?

菓子製造業許可を取得する際、「食品衛生責任者」を1名置くことが義務付けられています。

食品衛生責任者は、食中毒などの事故を防ぐために、衛生管理の責任を負う役割を担います。

食品衛生責任者になるには?

以下のいずれかの方法で資格を取得できます。

  1. 特定の資格を所持している場合: 栄養士、調理師、製菓衛生師などの資格があれば、そのまま食品衛生責任者になれます。
  2. 講習会を受講する場合: 資格がない場合でも、各都道府県の食品衛生協会が開催する食品衛生責任者養成講習会を受講すれば資格を取得できます。1日で取得でき、受講費用は1,2000円が目安です。
    別記事:資格なしでも食品衛生責任者になる方法

菓子製造業許可取得後のステップ

許可を取得したからといって、すぐに販売できるわけではありません。許可取得後もやるべきことはたくさんあります。

1. 販売先・販路の確保

ネットショップの構築、SNSでの集客、マルシェへの出店申し込みなど、販売先を確保しましょう。

2. 食品表示ラベルの作成

製造したお菓子には、法律で定められた項目を記載した「食品表示ラベル」を貼る必要があります。

<表示が義務付けられている項目>

  • 名称
  • 原材料名
  • 添加物
  • 内容量
  • 消費期限または賞味期限
  • 保存方法
  • 製造者(氏名または名称、所在地)
  • アレルギー表示
  • 栄養成分表示
  • 原料原産地名

アレルギー表示や栄養成分表示など、特に注意して記載する必要があります。間違いがないよう、専門家や行政に相談することをおすすめします。

3. 日々の衛生管理

営業許可は、日々の衛生管理が前提となっています。保健所は抜き打ちで検査を行うことがあります。

  • 清掃・消毒の徹底
  • 従業員の健康管理
  • 冷蔵庫の温度管理
  • 製造記録の作成

など、衛生管理マニュアルを作成し、日々徹底しましょう。

まとめ

菓子製造業許可の取得は、決して簡単な道のりではありません。しかし、その分、安心して安全なお菓子を消費者へ届けられるという大きなやりがいにつながります。

「難しそう…」と一人で悩まず、まずは管轄の保健所に足を運んでみましょう。専門家である保健所の担当者が、あなたの計画を具体的にサポートしてくれます。専門家である我々行政書士に相談するのも手段の一つです。

お菓子屋さんをやってみたいという夢をお持ちの方の一歩踏み出すためのきっかけになれば幸いです。

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