水道施設工事業とは?どんな工事の内容が当てはまる?建設業許可取得に役立つ資格も併せて解説!

水道施設工事業とは?どんな工事の内容が当てはまる?建設業許可取得に役立つ資格も併せて解説!

建設業界で活躍する方々にとって、建設業許可の取得は事業拡大の鍵となります。しかし、その第一歩として、ご自身の事業がどの業種に該当するのかを正確に理解することが不可欠です。この記事では、数ある建設業種の中でも特に重要な水道施設工事業について、その定義から、ご指定の具体的な工事内容、そして建設業許可取得に役立つ資格までを網羅的に解説します。これから水道施設工事業で建設業許可を取得しようとお考えの方に、少しでも参考にしていただけると幸いです。

水道施設工事業とは? 建設業許可における定義

水道施設工事業は、建設業法で定められた29の業種のうちの一つです。その定義は「上水道、工業用水道等のための取水、浄水、配水等の施設を築造するための工事又は公共下水道若しくは流域下水道の処理設備を設置する工事」とされています。

簡単に言うと、水道インフラに関わる専門的な工事を指します。私たちの生活に欠かせない「水」を安全に供給するための設備や、使われた水をきれいに処理するための施設を造る工事全般が該当します。

この業種は「管工事業」と混同されがちですが、明確な違いがあります。水道施設工事業は、浄水場やポンプ場といった公共施設に関わる工事のことを指します。一方、管工事業は、建物内の給排水管や空調設備など、一般住宅等の配管工事を専門としています。

水道施設工事業に該当する具体的な工事内容

水道施設工事業と聞いても、あまりイメージが沸かないと思いますが、その業務範囲は多岐にわたります。以下に、代表的な工事内容をいくつかご紹介します。

  • 取水施設工事 河川やダムから水を取り込むための設備(取水口、取水塔など)を設置する工事です。水源となる水質や水量に合わせて、適切な設備を選定し設置します。
  • 浄水施設工事 取り込んだ水をろ過、消毒して飲用水にするための施設(浄水場)を設置する工事です。ろ過池、沈殿池、薬注設備など、高度な水処理技術が求められます。
  • 配水施設工事 浄水場から各地域へ水を送るための施設(配水池、ポンプ場など)を設置する工事です。安定した水圧を確保し、広範囲に水を供給するための重要な工事です。
  • 下水処理設備工事 家庭や工場から排出された汚水を浄化し、環境へ配慮した水に戻すための施設や、広域にわたる下水道システムの処理設備を設置する工事です。

これらの工事は、新設工事だけでなく、既存施設の老朽化に伴う更新や改修工事も含まれます。

水道施設工事業の建設業許可取得に必要な要件

建設業許可を取得するには、いくつかの厳しい要件を満たす必要があります。ここでは、特に重要な経営業務の管理責任者専任技術者について詳しく解説します。

経営業務の管理責任者

建設業の経営を適切に行うための知識と経験を持つ人が必要です。以下の要件を満たす必要があります。

  • 建設業に関して、5年以上の経営経験があること。 「経営経験」とは、個人事業主として建設業を営んでいた期間や、法人の役員として経営に携わっていた期間などを指します。

専任技術者(現営業所技術者)

工事の技術的な側面を管理・指導する役割を担います。以下のいずれかの要件を満たす必要があります。

  • 指定学科の卒業者で、実務経験がある
    • 高校:5年以上の実務経験
    • 大学・高専:3年以上の実務経験
    • 指定学科:土木工学、建築学、機械工学、都市工学又は衛生工学に関する学科(水道施設工事業の場合)
  • 水道施設工事業に関する実務経験が10年以上あること。 この実務経験とは、無資格・学歴不問でも認められる要件です。
  • 特定資格の保有者 後述する、水道施設工事業に関連する国家資格などを保有している場合、実務経験が短縮または不要になります。

専任技術者は、原則としてその営業所に常勤している必要があります。
別記事:営業所技術者となるための要件を分かりやすく解説

建設業許可取得に役立つ資格とは?

水道施設工事業の建設業許可取得において、特に専任技術者の要件を満たす上で有利になる資格がいくつか存在します。これらの資格を取得することで、実務経験の証明をする必要がなくなります。(一部実務経験が必要なものもあります)

土木施工管理技士

土木施工管理技士は、土木工事全般の施工管理を行うための国家資格です。水道施設工事は土木工事の一部であるため、この資格が最も汎用性が高く、多くの水道施設工事で活用できます。

  • 一級土木施工管理技士
  • 二級土木施工管理技士(土木)

技術士

技術士は、科学技術分野の最高峰の国家資格です。
別記事:技術士について解説

  • 上下水道・総合技術管理(上下水道)
  • 上下水道「上水道及び工業用水道」・総合技術管理(上下水道及び工業用水道」)
  • 衛生工学「水質管理」・総合技術管理(衛生工学「水質管理」)
  • 衛生工学「廃棄物処理」・総合技術管理(衛生工学「廃棄物処理」)

まとめ:水道施設工事業許可取得のステップ

水道施設工事業の建設業許可を取得する道のりは、以下のステップで進めるのが一般的です。

  1. 事業内容の確認: ご自身の事業が本当に「水道施設工事業」に該当するか、改めて確認します。他の業種と兼ねる場合は、それぞれの許可要件も把握する必要があります。
  2. 要件の確認: 経営業務の管理責任者と専任技術者の要件を満たしているか、経歴や資格を確認します。その他の要件もしっかりと確認しましょう。
  3. 必要書類の準備: 登記事項証明書、確定申告書の控え、資格証明書、実務経験を証明する契約書など、膨大な書類を準備します。
  4. 申請手続き: 準備した書類を管轄の都道府県知事や国土交通大臣に提出します。
  5. 審査: 提出書類に不備がないか、許可要件を満たしているか、厳正な審査が行われます。
  6. 許可取得: 無事に審査が通れば、建設業許可を取得できます。

水道施設工事業は、私たちの生活を支える重要なインフラを築き、維持する専門性の高い仕事です。建設業許可を取得することで、社会的な信頼性が向上し、より大きな規模の工事や公共工事にも参加できるようになります。不明な点があれば、専門の行政書士に相談することをお勧めします。
水道施設工事業の建設業許可を取得して、さらなる事業拡大を目指しましょう。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です