下請け・孫請けでも建設業許可は必要?必要ない場合でも許可取得をおすすめする理由

下請け・孫請けでも建設業許可は必要?必要ない場合でも許可取得をおすすめする理由

「下請けや孫請けで仕事をしているけど、建設業許可って必要なんだろうか?」

このような疑問を抱えている建設業者の方は多いのではないでしょうか。元請けからの指示で仕事を行う立場だと、許可の必要性について深く考える機会が少ないかもしれません。しかし、建設業許可は、あなたの事業の成長と安定に直結する非常に重要なものなのです。

この記事では、現在下請け・孫請けとして活躍されている建設業者の方々に向けて、建設業許可の必要性の判断基準から、許可を取得するメリット・デメリットまでを詳しく解説します。

「本当に自分には必要なのか?」といった疑問をお持ちの方に、ご参考にしていただけると幸いです。

090-9451-9906(担当:茂木)

1|下請け・孫請けでも建設業許可は必要なのか?

まず、最も気になる「下請け・孫請けの立場での許可の必要性」について解説します。

基本は「請負金額」が判断基準

建設業許可が必要かどうかは、あなたが「請負契約を結んで、請け負う工事の金額(税込)」によって決まります。下請け・孫請けといった立場は実は全く関係ありません

建設業法では、以下のいずれかの条件を満たす工事を請け負う場合、建設業許可が必要です。

  1. 1件の請負金額が500万円(税込)以上の工事(建築一式工事以外)
  2. 建築一式工事で、1件の請負金額が1,500万円(税込)以上の工事
  3. 建築一式工事で、請負金額にかかわらず、延べ面積が150平方メートル以上の木造住宅工事

あなたが元請けから直接工事を請け負う金額、または孫請けとして二次下請けから請け負う金額が、この500万円(または1,500万円)のラインを超える可能性があるならば、下請け・孫請けであっても建設業許可の取得が法律で義務付けられています
※現状の請負金額が500万円を超えたことが無いといった場合でも(例:300万程度が多い等)許可取得を推奨します。もし、急に500万円以上の工事を請負うことになり、急いで許可を取得しようと考えても、最低でも1か月以上は必ずかかります。

関連記事:建築一式工事とは?定義と具体例や取得するために必要な国家資格について

「常用」の場合は基本的に不要

一方で、あなたの従業員や職人が元請けや一次下請けの現場に「常用(じょうよう)」として出向き、時間単位や日当で賃金を受け取る場合(労務提供契約、雇用契約に近い形態)は、原則として「請負契約」には当たらないため、建設業許可は基本的に必要ありません。この場合、元請けや一次下請けがあなたの職人を現場で利用しているという形になります。

ただし、実態が請負契約と見なされる場合もあるため、契約内容の確認は重要です。

500万円未満でも取得が推奨される理由

「今は500万円以上の工事は請け負っていないから大丈夫」と考えている方もいるかもしれません。前述した通り、現在の請負金額が500万円未満であっても、今後1円でも500万円以上の工事を請け負う可能性があるのであれば、事前に許可を取得しておくべきです。

急に大きな工事の依頼が来た際に、「許可がないから請け負えない」という機会損失を防ぐためにも、準備しておくことは事業戦略上、非常に賢明な判断と言えます。

2|現状必要なくても建設業許可を取得する5つのメリット

建設業許可は、単に法律をクリアするためだけのものではありません。あなたの事業の競争力、安定性、そして将来性を高めるための強力なツールとなります。

現状は500万円未満の工事しか請け負っていなくても、許可を取得することには以下のような大きなメリットがあります。

メリット 1:社会的信用の飛躍的な向上

建設業許可を取得していることは、「建設業法に定められた厳しい要件(経営業務の管理責任者、営業所技術者、財産的基礎など)をクリアしている」ことの公的な証明になります。

  • 取引先へのアピール力: 元請けや発注者は、トラブルを避けるために法令遵守意識の高い業者を選びます。許可業者であることは、信頼できる事業者であることの大きな証明となり、新規の取引先や、より規模の大きい元請けとの契約獲得に有利に働きます。
  • 事業の安定性: 特に大手の元請けでは、コンプライアンス遵守の観点から、下請け業者にも許可取得を義務付けているケースが増えています。許可があれば、安定した下請けの仕事を得やすくなります。

メリット 2:融資・資金調達の円滑化

金融機関は、融資の可否を判断する際に、企業の信用力や安定性を厳しく審査します。

  • 融資審査に有利: 建設業許可を取得している事業者は、事業の継続性や法令遵守体制が整っていると見なされやすく、銀行や信用金庫からの融資が下りやすくなる傾向があります。
  • 経営の安定化: 許可の取得が、事業拡大のための設備投資や運転資金の調達をスムーズにし、安定した経営を後押しします。

メリット 3:請負金額の制限がなくなり、事業拡大が可能に

これが一番直接的なメリットです。許可を取得することで、これまで法律で制限されていた500万円以上の工事を請け負うことが可能になります

  • 単価アップ: 規模の大きな工事を受注できるようになれば、必然的に企業の売上単価も向上します。
  • 元請けとしての活躍: 下請けとしての経験を活かし、将来的に元請けとして工事全体を請け負うという道も開けます。これは、あなたの事業を次のステージへ進める大きな一歩です。

メリット 4:公共工事への参入資格を得られる

将来的には国や自治体の公共工事を受注したいと考えている場合、建設業許可は必須の条件となります。公共工事は安定した仕事量と確実な支払いが期待できるため、事業の基盤をより強固なものにします。

メリット 5:人材採用での優位性

建設業許可を持っている企業は、「法令を遵守し、将来性のあるしっかりした会社」というイメージを求職者に与えます。優秀な技術者や若手の人材を採用する際に、許可を持っていることは大きなアドバンテージとなります。
建設業界全体の深刻な悩みである、人手不足解消にも繋がる可能性が十分に考えられます。

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3|許可取得に伴うデメリット(コストと労力)

メリットが多い建設業許可ですが、取得・維持にはそれなりのコストと労力がかかります。これらも正しく理解しておきましょう。

デメリット 1:維持管理のコストと労力

  • 人件費・固定費の発生: 許可要件を満たすために、営業所技術者(旧専任技術者)経営業務の管理責任者などの役職を置く必要があり、もし新たに人を雇うのであればその人件費が発生します。例えば、一人親方で取得する場合。事業主の方が両方の条件を満たしていれば、新しく人を雇うことは不必要で、兼任することが可能です。

関連記事:資格と実務経験が鍵! 建設業許可の営業所技術者(専任技術者)の要件を分かりやすく解説!

関連記事:難解な要件をクリア!経営業務の管理責任者証明のポイントとケース別対応策

  • 更新手続き: 建設業許可は5年に一度、更新手続きが必要です。この手続きには、費用(手数料)と、提出書類作成のための時間・労力がかかります。
  • 変更届の提出: 役員、本店所在地、専任技術者などに変更があった場合、その都度、期限内に変更届を提出する義務があり、この管理にも手間がかかります。

デメリット 2:取得までの時間と労力

初めて許可を取得する場合、要件確認、必要書類の収集・作成、行政庁への申請・審査に、数ヶ月単位の時間と膨大な労力を要します。特に、要件を満たしていることの証明となる書類(契約書、請求書、資格証など)を集める作業は非常に煩雑です。

4|まとめ:許可はあなたの事業を成長させる投資

メリット、デメリット共に存在する建設業許可ですが、結論として圧倒的にメリットの方が大きいです。
「500万円以上の工事を請負うことができるようになる」という本来のメリットはもちろんのこと

「 社会的信用、融資の円滑化、元請けとしての道など、事業を拡大し、安定させるための強力なパスポート」

であるとも言えます。
現状、許可が不要な立場であったとしても、許可を取得することで得られる社会的信用や将来的な事業拡大の可能性は、維持コストをはるかに上回る価値があります。建設業許可は、あなたの事業の未来への「先行投資」なのです。

建設業許可取得はプロにお任せを!

建設業許可の取得には、非常に多くの複雑な書類作成と厳格な要件チェックが必要です。

  • 要件を満たしているかの確認(実務経験や財産的基礎の証明)
  • 大量の添付書類(履歴事項証明書、納税証明書、資格証明書、契約書など)の収集
  • 申請書の作成と行政庁との折衝

これらの作業を本業の傍らで全て自力で行うのは、難易度が非常に高いと言わざるを得ません。

専門家である行政書士は、建設業許可申請のプロフェッショナルです。行政書士に依頼することで、書類作成の手間と時間を大幅に削減し、確実に許可を取得することができます。

あなたの貴重な時間は、許可の申請作業ではなく、本業である建設工事と事業の発展のために使うべきです。

建設業許可を取得し、さらなる事業拡大を目指しましょう!

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弊所のご紹介

弊所は建設業許可に特化した行政書士事務所です。
ご相談は無料で承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。元、型枠大工の行政書士が全力でお客様の事業をサポートいたします。

また、弊所の取り組みとして近年現場で導入が進んでいる「建設キャリアアップシステム」や「グリーンサイト」、「buildee」の登録代行も、建設業許可と合わせて行っております。
もちろん、「登録代行だけ」「建設業許可だけ」も大歓迎です。気になった方は是非、下記サイトをご覧ください。

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