建築一式工事とは?定義や具体例、取得要件と役立つ国家資格も解説!
建築一式工事とは?定義や具体例、取得要件と役立つ国家資格も解説!

建築業界において、「建築一式工事」という工事はとても重要な役割を果たしています。
この記事では、建築一式工事について、その定義から具体的な工事の事例、そして工事を請け負うために必要な建設業許可の取得要件、許可取得に役立つ国家資格まで、深く掘り下げて解説します。
建築一式工事の建設業許可取得をお考えの方、資格取得を考えている方、建築プロジェクトの全体像を把握したい方に、ご参考にしていただけると幸いです。
1|建築一式工事の定義と位置づけ
建設業法における建築一式工事の明確な定義
建築一式工事とは、建設業法において定められた29種類の工事のうちの一つです。その定義は、「総合的な企画・指導・調整のもとに建築物を建設する工事」とされています。
平たく言えば、一つの建築物(例えば、戸建て住宅、マンション、オフィスビル、学校、病院など)を、最初から最後まで一貫して、統括的な管理・指導のもとで完成させるための工事全般を指します。
ポイント:
- 「総合的な企画、指導及び調整」がキーワード。
- 特定の専門工事ではなく、建築物全体の完成を目指す工事。
他の専門工事との決定的な違い
建築一式工事が他の専門工事(例:大工工事、内装仕上工事、電気工事、管工事など)と決定的に異なる点は、その「総合性」にあります。
- 専門工事: 特定の技術や工法に特化し、建築物の一部を構成する工事。例えば、「内装仕上工事」だけを請け負う場合などが該当します。
- 建築一式工事: 専門工事を他の業者に発注し、プロジェクト全体を管理・監督する役割を担います。すなわち、工事全体のスケジュール、品質、コスト、安全の責任を持つゼネコン(総合建設業者)などが請け負う工事がこれに該当します。
つまり、建築一式工事を請け負う業者は、映画監督のような存在です。各専門工事業者を取りまとめ、一つの建築物を完成させるのが、その役割です。
2|建築一式工事の具体的な事例

建築一式工事の範囲は非常に広く、私たちが日常目にするほとんどの建築物がその対象となります。
1. 新築工事
最も典型的な例は、土地の選定から基礎工事、躯体(くたい)工事、内装、外装、設備工事を経て、建物が引き渡されるまでの一連のプロセス全体を請け負う新築工事です。
- 戸建て住宅の新築
- マンションやアパートの建設
- オフィスビル、商業施設の建設
- 工場、倉庫などの産業施設の建設
2. 大規模な増改築工事(リフォーム・リノベーション)
単なる部分的な修理や改修ではなく、建物の構造や用途、間取りを大きく変更するような大規模な増築・改築・リノベーション工事も、建築一式工事に含まれる場合があります。特に、複数の専門工事を横断的かつ総合的に管理する必要がある場合がこれに該当します。
- ビルの耐震補強工事とそれに伴う全面的な内装改修
- 建物の用途変更(例:倉庫をオフィスに改修)
3. その他
総合的な管理・調整が不可欠な工事であれば、これに該当します。ただし、土木工作物(例:道路、橋、ダム)の工事は、「土木一式工事」に分類され、建築一式工事とは別業種に分類されます。
豆知識: 建築一式工事の「許可」を持っていても、500万円以上の専門工事だけを単体で請け負うことはできない点に注意が必要です。例えば、内装工事だけを請け負いたい場合は、別途「内装仕上工事」の許可が必要になります。
3|建築一式工事を請け負うための要件:建設業許可

建設業を営む上で、特に一定規模以上の工事を請け負う際には、建設業許可が必要です。建築一式工事も例外ではありません。
許可が必要となる工事の基準
原則として、以下のいずれかに該当する工事を請け負う場合、建築一式工事の建設業許可が必要です。
- 請負金額が1,500万円(税込)以上の工事
- 木造で延べ面積が150㎡を超える木造住宅の一式工事 (ただし、木造で延べ面積が150㎡以下、請負金額が1,500万円未満の工事は、許可不要の「軽微な工事」となります。)
一般建設業と特定建設業の違い
建設業許可には、一般建設業と特定建設業の2種類があり、請け負う工事の規模や、下請けに発注する金額によって区別されます。
| 許可の種類 | 対象となる工事の基準 | 特徴 |
| 一般建設業 | 軽微な工事以上の規模の工事を請け負う場合 | 元請として、下請けに発注する金額の総額に制限がある。(5000万未満) |
| 特定建設業 | 建築工事業の場合、元請として下請けに発注する金額の総額が8,000万円(税込)以上になる工事を請け負う場合 | 下請け業者に対する指導・監督責任がより重い。元請として大規模工事を請け負うための許可。 |
4|建設業許可取得に必要な要件

次に、建設業の許可を取得に必要な主要要件を解説します。その中でも、特に「経営業務の管理責任者の配置」と「営業所技術者の配置」は人的要件と呼ばれ、難易度が高い要件となっています。
1. 経営業務の管理責任者(経管)の配置
建設業の経営を適正に行うための体制を確保する要件です。
- 要件の概要: 役員のうちの一人、または役員に準ずる地位の方が、建設業の経営業務について一定の経験と実績を有している必要があります。
- 例: 建設業に関して5年以上の経営経験、または6年以上の経営業務を補佐する経験などが必要です。
ポイント: 2020年(令和2年)の法改正により、要件が柔軟になりましたが、一般的には「5年の経営経験」で証明するケースが多いです。
関連記事:難解な要件をクリア!経営業務の管理責任者証明のポイントとケース別対応策
2.営業所技術者の配置
建設業の許可を受けた営業所において、請負契約の適正な締結や履行を技術的な側面から確保するための要件です。
- 要件の概要: 各営業所ごとに、その業種に関する専門的な知識や実務経験を持つ技術者を、常勤かつ専任で配置する必要があります。
- 例: 以下のいずれかを満たしている必要があります。
- 資格保有者: 対象の国家資格(例:建築施工管理技士や〇〇技能士など)を持っている。
- 実務経験者: 許可を受けようとする業種に関して、10年以上の実務経験がある(指定学科を卒業している場合は、3年または5年に短縮可能)。
ポイント:同一営業所内であれば、一人の人間が「経営業務の管理責任者」と「営業所技術者」の両方の要件を満たしている場合、一人二役を兼ねることができます。
個人事業主(一人親方)で建設業許可を取得する場合は、「経営業務の管理責任者」と兼任する場合がほとんどです。
関連記事:資格と実務経験が鍵! 建設業許可の営業所技術者(専任技術者)の要件を分かりやすく解説!
3. 適切な社会保険への加入
建設業で働く労働者の待遇改善と、企業のコンプライアンス遵守のため、社会保険への加入は必須の要件となっています。
- 要件の概要: 建設業者が雇用するすべての従業員について、健康保険、厚生年金保険、雇用保険に適切に加入し、その加入状況を証明することが求められます。(個人の場合は国民健康保険、国民年金。従業員を雇っている場合は雇用保険。)
- 重要性: 適切な社会保険への加入は、今や建設業許可を取得・維持するための重要な前提条件です。未加入や加入手続きの不備がある場合、許可申請は受理されません。
関連記事:【建設業許可の要件】適切な社会保険とは?ケース別に徹底解説!
4. 財産的基礎・金銭的信用
工事を請け負い、事業を継続していくための経済的な基盤があることを示す要件です。
- 自己資本(純資産の合計額)が500万円以上であること。
- 500万円以上の資金を調達する能力があること(金融機関の残高証明書などで証明)。
特定建設業を取得する際に必要な財産要件は格段に厳しくなります。
関連記事:【建設業許可の要件】財産要件の500万円。無い場合は?融資でもいい?行政書士が徹底解説!
5. 欠格要件に該当しないこと
- 許可申請者が、建設業法で定められた欠格要件(法律違反による罰則、成年被後見人・被保佐人など)に該当しないことが必要です。これには、申請者本人だけでなく、役員も含まれます。
関連記事:【知らなかったでは済まされない】建設業許可の欠格要件とは?代表者・役員が注意すべきポイント
5|建築一式工事の取得に役立つ国家資格

建設業許可を取得するには、上記で解説した要件の一つである「営業所技術者(旧専任技術者)」を配置することが義務付けられています。この営業所技術者となるためには、特定の国家資格や実務経験が必要です。
建築一式工事の営業所技術者として認められる代表的な国家資格は以下の通りです。
1. 建築一式工事の営業所技術者資格(一般・特定共通)
| 国家資格名 | 一般建設業の要件 | 特定建設業の要件 |
| 一級建築士 | 該当 | 該当 |
| 一級建築施工管理技士 | 該当 | 該当 |
2. 一般建設業の営業所技術者として認められる資格
上記の一級資格に加え、一般建設業の許可においては以下の資格や実務経験も認められます。
- 二級建築士
- 二級建築施工管理技士
- 特定の学歴+実務経験:指定学科(建築、土木など)を卒業後、大卒で3年以上、高卒で5年以上の実務経験。
3. 特定建設業の監理技術者資格
特定建設業の許可を取得し、大規模な元請工事を行う場合、現場には監理技術者の配置が義務付けられます。監理技術者になれるのは、原則として以下の一級資格の保有者に限られます。
- 一級建築士
- 一級建築施工管理技士
特に一級建築施工管理技士は、工事の施工管理という側面から建築一式工事を総合的に指揮監督する能力を証明する資格であり、建設業におけるキャリアアップに欠かせない最重要資格の一つです。
6|建設業許可取得までの流れ

建設業許可の取得までは、以下のような流れで進めて行きます。
- 要件の確認: 経営業務の管理責任者、営業所技術者の要件を満たしているか確認します。
- 必要書類の準備: 会社の履歴事項全部証明書、実務経験証明書など、膨大な書類を準備します。
- 申請書の作成: 申請書類を作成し、都道府県知事または国土交通大臣に提出します。
- 審査・許可: 申請書類の審査が行われ、問題がなければ許可がおります。
許可取得は専門家への依頼が確実です
建設業許可申請は、その要件の多様さと、提出書類の多さ・複雑さから、専門知識なしに進めると時間と労力を大幅に浪費するリスクがあります。
- 要件の正確な判断:
- お持ちの資格や実務経験が、どの業種の許可要件を正確に満たすのか。
- 経営陣の経験や会社の財務状況が、現行の法規制に照らして適格か。
これらの判断には、専門的な知見が必要です。
- 煩雑な書類作成と収集:
- 登記簿謄本、納税証明書、残高証明書、工事経歴書など、膨大な種類の書類を抜け漏れなく、かつ指定された様式で作成・収集する必要があります。
- 許可行政庁(国土交通大臣または都道府県知事)とのやりとりや、書類の軽微な修正にも対応しなければなりません。
これらの手続きを本業の傍らで行うことは、想像以上に大きな負担となります。
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7|【まとめ】建築一式工事の重要性


建築一式工事は、単なる工事の寄せ集めではなく、建築物という成果物を生み出すための総合的なプロジェクトマネジメントそのものです。
この工事を請け負う事業者は、高い技術力、広範な知識、多数の専門工事業者を統率する管理能力が求められます。そして、その能力を証明するのが、建設業許可であり、許可を取得するために非常に役に立つのが一級建築士や一級建築施工管理技士といった国家資格です。
「これから資格取得を考えている」「建築一式工事の建設業許可が欲しい」とお考えの方に、この記事がご参考になれば幸いです。
弊所のご紹介
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