大工工事業とは?どんな工事の内容が当てはまる?取得に必要な資格も解説!

大工工事業とは?どんな工事の内容が当てはまる?取得に必要な資格も解説!

建設業界における「大工」の仕事は、単に木材を組み立てるだけではありません。建築物の骨組みから内装の仕上げまで、その役割は多岐にわたります。今回は、建設業許可における大工工事業に焦点を当て、その定義や該当する工事内容、加えて大工工事業の取得に必要な国家資格について詳しく解説します。
「自分はどの業種の許可を取ればいいのか」そんなお悩みを抱えてらっしゃる方のお役に少しでも立てれば幸いです。

1:大工工事業とは?その定義と役割

大工工事業とは、建設業法で定められた29の専門工事業種の一つで、「木材の加工又は取付けにより工作物を築造し、又は工作物に木製設備を取付ける工事」を指します。簡単に言えば、木造建築物の骨組みや内装の主要部分を専門的に手掛ける工事です。

大工工事業は、建築物の安全性と品質を担保する上で極めて重要な役割を担っています。建物の構造を支える木材を正確に加工・組み立てる技術は、まさに建物の「根幹」を築く作業であり、完成後の建物の耐久性や住みやすさに直結します。

また、大工工事業は、新築工事だけでなく、増改築やリフォーム工事においても不可欠な存在です。既存の建物の構造を理解し、適切な補強や改修を行う技術が求められます。

2:大工工事業に該当する工事内容

大工工事業に分類される工事は、その範囲が広いため、以下に代表的なものを挙げます。

1. 大工工事 住宅、店舗、公共施設など、木材を主要な構造材として使用する建築物の新築・増改築工事全般です。具体的には、柱や梁の組み立て、屋根の下地づくりなど、建物の骨格を形成する主要部分が含まれます。

2. 型枠工事 木材を使用して、コンクリートを流し込む型枠を形成する工事です。柱、梁、などを組み合わせ、地震や風に耐えうる強固な構造をつくり上げます。

3. 造作工事 建物の内部空間を形作る工事です。ドアや窓の枠、鴨居、敷居、階段、手すり、押入れ、床の間など、木材でつくる細かな部分を指します。これらの工事は、住みやすさやデザイン性を高める上で重要な役割を果たします。

これらの工事は、木材の特性を熟知し、高い加工技術を持つ大工によって行われる専門性の高い仕事です。

3:大工工事業の許可と必要性

大工工事業を営むには、建設業許可の取得が不可欠です。請負金額が500万円以上の工事(建築一式工事の場合は1,500万円以上)を行う場合、この許可が法律で義務付けられています。

許可には「一般建設業許可」と「特定建設業許可」の2種類があり、事業規模によってどちらを取得すべきかが決まります。

  • 一般建設業許可: 元請けとして受注した工事で、下請けに発注する金額の合計が4,000万円未満(建築一式工事の場合は6,000万円未満)の場合。
  • 特定建設業許可: 元請けとして受注した工事で、下請けに発注する金額の合計が4,000万円以上(建築一式工事の場合は6,000万円以上)の場合。

許可を取得することで、社会的な信用が高まり、より大きな工事を受注できるようになるため、事業の拡大には欠かせないステップです。
一般建設業と特定建設業の違いについては、別記事で解説をしておりますのでこちらをご覧ください。

4:大工工事業の許可取得に役立つ国家資格

建設業許可を取得するためには、主に専任技術者の要件を満たす必要があります。この要件は、指定された国家資格を取得するか、一定期間の実務経験を積むことで満たせます。
決して、持っていないと建設業許可を取得できないというわけではありません。実務経験のみで要件を満たすことも可能です。

1. 建築士(一級・二級・木造)

建物の設計や工事監理を行う専門家です。

  • 一級建築士: 全ての建物の設計・工事監理が可能。
  • 二級建築士: 一定規模以下の建物の設計・工事監理が可能。
  • 木造建築士: 木造の一定規模以下の建物の設計・工事監理に特化した資格。

2. 建築施工管理技士(一級・二級)

建設現場における施工計画、工程、品質、安全、コスト管理を行う専門家です。

  • 一級建築施工管理技士: 全ての建設工事の施工管理が可能。
  • 二級建築施工管理技士(建築、躯体、仕上げ): 一定規模以下の建設工事の施工管理が可能。

3. 技能士(建築大工・型枠施工など)

職業能力開発促進法に基づく国家資格で、高度な技能を証明するものです。

  • 建築大工技能士: 木材の加工や組み立てに関する高い技術力を証明します。特に「一級建築大工技能士」は、専任技術者の要件を満たすことができます。
  • 型枠施工技能士: コンクリート構造物の型枠を組み立てる技能を証明します。直接的な大工工事業とは少し異なりますが、木材を扱う点では関連性が高い資格です。

※二級のみ保有の場合は、加えて実務経験が3年間必要になります。

5:まとめ

大工工事業は、木材を専門的に扱い、建物の骨組みから内装まで、幅広い工事を手掛ける重要な役割を担っています。事業を本格的に展開するには、建設業許可の取得が必須であり、そのためには、建築士建築施工管理技士建築大工技能士、型枠施工技能士などの国家資格が大きな武器となります。

これらの資格は、単に許可要件を満たすだけでなく、自身のスキルアップやキャリアアップにも直結します。大工工事業に携わる方は、これらの資格取得を視野に入れ、専門性を高めていくことで、より大きな成功を掴むことができるでしょう。

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