【どの業種をとればいい?】クロス工事を行う場合に必要な建設業許可をケース別に解説!
【どの業種をとればいい?】クロス工事を行う場合に必要な建設業許可をケース別に解説!

これから建設業許可の取得をお考えの、クロス工事を行う事業者の皆さん、お疲れ様です。
よく「内装仕上げ工事業」の許可で良いと聞くけれど、本当にそれだけで全て対応できるのか、他の工事も請け負うことになったらどうすれば良いのか、といった疑問をお持ちではないでしょうか?
建設業許可は、請負金額が税込500万円以上の工事を請け負うために必要となる、事業の信頼性を担保する重要なライセンスです。
この記事では、クロス工事を主軸とする事業者様がどのようなケースでどの建設業許可(業種)を取得すべきかを、具体的な事例を交えて徹底的に解説します。少しでも参考にしていただけると幸いです。
1|クロス工事に最も関連する建設業許可業種は「内装仕上げ工事業」

クロス工事は、建設業法上の29の業種区分のうち、主に内装仕上げ工事業に該当します。
内装仕上げ工事業とは?
内装仕上げ工事業とは、「木材、石膏ボード、吸音板、壁紙、たたみ、ビニール床タイル、カーペット、ふすま等を用いて建築物の内装仕上げを行う工事」を指します。
ポイント
- クロス(壁紙)の貼付け
- 床仕上げ(カーペット、クッションフロア、フローリング、タイルカーペット等)
- 軽天工事(ボード貼り下地となる骨組み)
- 間仕切り工事(造作工事除く)
- 防音工事(内装部分)
あなたが請け負う工事が、500万円以上で、上記の内装仕上げ工事のみであれば、「内装仕上げ工事業」の許可を取得すれば問題ありません。
2|ケース別解説:あなたの事業に必要な許可業種は?

「内装仕上げ工事業」のみで良いのか、それとも他の業種も必要になるのかは、あなたが実際に請け負う工事の範囲によって変わります。
ここでは、クロス工事業者が直面しやすい具体的なケースと、それぞれに必要な許可業種を解説します。
ケース1:純粋な内装仕上げ工事(クロス、床、軽天など)のみを請け負う場合
| 請負う工事の範囲 | 必要な許可業種 |
| クロス貼替え、床材の貼替え、軽天工事、間仕切り壁のボード貼りなど、内装仕上げ工事のみ。 | 内装仕上げ工事業 |
これが最もスタンダードなケースです。請負金額が500万円以上の内装仕上げ工事であれば、この許可一つで対応可能です。
ケース2:内装仕上げ工事と「大工工事」を合わせて請け負う場合
リフォーム現場などでは、クロスを貼る前に、壁の下地となる工事や、ドア枠・窓枠の造作工事、フローリング材の下地調整のための根太組みといった大工工事を合わせて請け負うことがよくあります。
| 請負う工事の範囲 | 必要な許可業種 |
| クロス工事(内装仕上げ)+ 根太組み・造作工事などの大工工事を請け負う。 | 内装仕上げ工事業 + 大工工事業 |
この場合、内装仕上げ工事とは別に、500万円以上の大工工事を請け負う可能性があるならば、「大工工事業」の許可も必要となります。
許可の考え方
建設業許可は、工事全体ではなく、個別の専門工事(業種)ごとに必要となります。例えば、総額800万円の工事で、内装仕上げ工事が450万円、大工工事が350万円だった場合、どちらも500万円未満なので「許可は不要」ではありません。請負う契約が800万円である以上、何らかの許可が必要です。
例外:附帯工事
メインの工事に付随する工事(メインの工事より金額が少ない)であれば、その業種の許可を持っていなくても、メインの許可業種の「附帯工事」として請け負うことが可能です。
ケース3:水回りリフォームなどで「管工事」や「電気工事」を合わせて請け負う場合
内装仕上げ工事と同時に、キッチンや浴室の入れ替えに伴う給排水管の工事や、照明・コンセントの電気配線工事まで一括で請け負うケースです。
| 請負う工事の範囲 | 必要な許可業種 |
| クロス工事(内装仕上げ)+ 給排水・換気設備の管工事。 | 内装仕上げ工事業 + 管工事業 |
| クロス工事(内装仕上げ)+ 配線・照明・コンセントの電気工事。 | 内装仕上げ工事業 + 電気工事業 |
この場合、それぞれの専門工事について、500万円以上の工事を請け負う可能性があるならば、それぞれの業種の許可を取得する必要があります。特に水回りリフォームを本格的に行うならば「管工事業」は必須となるでしょう。
ケース4:外壁塗装や屋根工事まで請け負う場合
元請として、内装工事だけでなく、建物の外装全体のリフォームまで一括して請け負うことがあります。例えば、内装工事と同時に外壁の塗装工事やサッシ(建具)の交換工事を請け負う場合などです。
| 請負う工事の範囲 | 必要な許可業種 |
| クロス工事(内装仕上げ)+ 外壁の塗装工事。 | 内装仕上げ工事業 + 塗装工事業 |
| クロス工事(内装仕上げ)+ サッシ・ドア・シャッター等の建具工事。 | 内装仕上げ工事業 + 建具工事業 |
このように、内装とは全く関係のない工事を請け負う場合は、その工事に該当する業種の許可が必ず必要になります。特に塗装や建具は、多くのリフォーム工事でセットになりがちなので、事業拡大を見据えるなら検討すべき業種です。
3|複数の許可(兼業)を取得するメリットと要件

クロス工事を主軸としつつ、複数の建設業許可を取得することには以下のようなメリットがあります。ただ、必要な要件が増えるため、事前に要件を満たしているかのチェックが必要です。
兼業許可を取得するメリット
- 請負可能範囲の拡大:一つの現場で、内装から大工、設備、外装まで、ワンストップで一括受注できるようになり、顧客からの信頼度が向上します。
- 経営の安定化:特定の工事需要に依存せず、多角的な事業展開が可能になり、経営が安定します。
- 付帯工事を超えた対応:大工工事や管工事を本格的に請け負う際、500万円を超えても合法的に工事を進められます。
兼業許可を取得する際の要件
複数の業種で許可を取得する場合、各業種ごとに以下の要件を満たす必要があります。
- 営業所技術者(旧専任技術者)
- それぞれの許可業種について、所定の資格(例:一級建築施工管理技士、二級建築施工管理技士-仕上げ、管工事施工管理技士など)を持つか、10年以上の実務経験を持つ者を「営業所技術者」として配置する必要があります。
- ただし、特定の資格(例:一級建築施工管理技士、二級建築士など)を持っている場合、複数の業種の営業所技術者を兼任できることがあります。 これが大きなポイントです。
- その他の要件
- 経営業務の管理責任者(役員など):一人の者が全ての業種で兼任できます。⇒[経営業務の管理責任者の要件について詳しく解説した記事はこちら]
- 財産的要件(自己資本500万円以上または資金調達能力):全ての業種で共通して満たせばOKです。⇒[財産的要件について詳しく解説した記事はこちら]
まずは「内装仕上げ工事業」で許可を取得し、その営業所技術者の資格や実務経験を確認した上で、次に取得したい業種で兼任が可能か、新たに要件を満たす人材が必要かを検討するのがスムーズです。
4|まとめと次のステップ

クロス工事を主とする事業者が建設業許可を取得する際の要点は以下の通りです。
| 請負う工事の範囲 | 取得すべき許可業種 | 事業拡大の方向性 |
| クロス、床、軽天などの内装のみ | 内装仕上げ工事業 | 基礎許可。まずはこれ一つから。 |
| 内装+下地などの木工事 | 内装仕上げ工事業 + 大工工事業 | フルリフォームへの対応力強化。 |
| 内装+給排水・換気設備 | 内装仕上げ工事業 + 管工事業 | 水回りリフォームの本格化。 |
| 内装+外壁塗装 | 内装仕上げ工事業 + 塗装工事業 | 外装工事への進出。 |
あなたの事業の現状と将来の展望を照らし合わせ、「どの専門工事を請け負う可能性があるか」を明確にすることで、必要な建設業許可業種が明確になります。
まずは基本となる「内装仕上げ工事業」の取得要件を満たす準備から始め、将来的に請け負う可能性のある工事に合わせて、他の業種の兼業許可を検討していくのが最も堅実な戦略です。
ご自身の持つ資格や実務経験で、複数の業種を兼任できるかを確認し、効率よく許可取得を進めましょう。
許可取得に少しでも不安がある場合には、専門家である行政書士に相談することをお勧めします。
弊所のご紹介
弊所は建設業許可に特化した行政書士事務所です。
ご相談は無料で承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。元、型枠大工の行政書士が全力でお客様の事業をサポートいたします。

また、弊所の取り組みとして近年現場で導入が進んでいる「建設キャリアアップシステム」や「グリーンサイト」、「buildee」の登録代行も、建設業許可と合わせて行っております。
もちろん、「登録代行だけ」「建設業許可だけ」も大歓迎です。気になった方は是非、下記サイトをご覧ください。


