【建設業許可】法人成りと同時に許可は取得できる?取得に必要な要件も徹底解説!
【建設業許可】法人成りと同時に許可は取得できる?取得に必要な要件も徹底解説!

現在、個人事業主として建設業を営んでいらっしゃる皆様、事業のさらなる拡大を見据え、「法人成り」を検討されていることと思います。法人化は、社会的信用力の獲得、金融機関からの融資の受けやすさ、税制上のメリットなど、多くの点で事業に好影響をもたらします。
そして、この法人成りという大きなターニングポイントと同時に、建設業許可の取得を目指すのは、事業を次のステージへ引き上げるための最適な戦略です。許可を取得すれば、請負金額500万円以上の工事も受注可能となり、事業成長の機会が格段に広がります。
「法人設立と同時に、建設業許可もスムーズに取得できるのだろうか?」
結論から申し上げますと、個人事業主時代の経験を適切に活用すれば、法人設立直後に建設業許可を取得することは十分可能です。
この記事では、個人事業主から法人成りする事業者が建設業許可をスムーズに取得するためにクリアすべき必須要件と、個人時代の経験を法人に引き継ぐ方法について、専門家が徹底的に解説します。ご参考にしていただけると幸いです。
目次
090-9451-9906(担当:茂木)
1|建設業許可の6大要件:法人成りで注目すべきポイント

建設業許可を取得するためには、大きく分けて6つの要件をすべてクリアする必要があります。法人成りという組織変更のタイミングで、これらを一気に整備することが成功の鍵です。
建設業許可 6大要件
- 経営業務の管理責任者(経管)の配置
- 営業所技術者(旧専任技術者)の配置
- 誠実性
- 財産的基礎(資金力)
- 欠格要件に該当しないこと
- 適切な社会保険に加入していること
これらの要件の中でも、特に法人成り直後の事業者が証明に手間取るのが「経管」と「営業所技術者」です。
初めて建設業許可を取得する場合は、一般建設業であることがほとんどだと思いますので、今回は一般建設業で解説します。
関連記事:特定建設業許可と一般建設業許可の違いを解説!最適な許可はどっち?
2|必須要件①:経営業務の管理責任者(経管)の要件

経管は、建設業の経営面を適切に遂行できるだけの経験と能力を持つ人物を指します。後述する営業所技術者とこの経管は、人に関する要件(人的要件)と呼ばれ、経験があることの証明も必要になります。6つの要件の中で、この人的要件が最も難関と言えるでしょう。
「5年以上の経営経験」のクリア方法
新設法人は経営実績がないため、以下のいずれかの方法で要件をクリアする必要があります。
方法1:個人事業主の経験を活用する(最も一般的)
個人事業主として建設業に関し、5年以上にわたり事業を経営した経験を持つ者が、新設法人の常勤役員(代表取締役など)に就任すること。
- 活用できる経験:個人事業主時代の建設業の経営期間が、新法人の経管としての経営経験として証明することが可能です。
- 証明書類:個人事業主時代の確定申告書(5年分)、そしてその期間の建設工事の請負契約書や注文書(建設業を経営していた実態を示すもの)が必要です。
方法2:経験者を常勤役員として迎え入れる
個人事業主の経営経験が5年に満たない場合でも、5年以上の経営経験を持つ人物を新設法人の常勤役員として迎え入れることで、経管要件を満たすことが可能です。
【経営経験が足りず、人の雇用を考えていない場合】
もし、経営経験が5年に満たなくても、法人化した後の経験と合算もできるため、先に法人化しておいて個人事業主時代と合算して5年経過したタイミングで許可を取得するといったことも可能です。
関連記事:難解な要件をクリア!経営業務の管理責任者証明のポイントとケース別対応策
3|必須要件②:営業所ごとの営業所技術者(旧専任技術者)要件

営業所技術者とは、技術面の責任者を指し、各営業所に、許可を受けようとする建設工事に関する専門知識や技術を持つ人物を配置しなければなりません。経管同様、最難関と言われる要件です。
技術的な資格または実務経験の活用
個人事業主として活躍してきた皆様の実務経験や保有資格は、そのまま新設法人の専任技術者の要件として活用できます。
1. 資格による要件
- 一般建設業:二級施工管理技士などの指定された国家資格を保有していること。
2. 実務経験による要件
- 一般建設業:許可を受けようとする建設業に関して、10年以上の実務経験を有すること(指定学科を卒業していれば3年または5年に短縮可能)。
経管と営業所技術者の兼任も可能です。個人事業主であった方が、5年以上の経営経験と技術者としての要件の両方を満たしていれば、同一人物が両方を担当できます。この場合も、個人事業主時代の実務経験を証明する書類(契約書、注文書など)が必要です。
【ポイント】
特定の資格で証明するか、実務経験で証明するかによって難易度が大幅に変わってきます。対象の資格を保有していれば、資格証で証明が可能ですが、実務経験で証明する場合は10年分(120か月)の請求書や注文書が必要になります。都道府県によって、求められる期間(1か月ごと、3か月ごと等)は異なりますが、少しでも不備があると受理されません。まずは、取得したい建設業許可の業種が、現在保有している資格で取得可能かチェックしましょう。
関連記事:資格と実務経験が鍵! 建設業許可の営業所技術者(専任技術者)の要件を分かりやすく解説!
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4|必須要件③・④・⑤:財産的基礎、欠格要件、誠実性

これらの要件も法人設立時にクリアしておく必要があります。
財産的基礎(資金力)の要件
- 一般建設業の場合:
- 自己資本(純資産の合計額)が500万円以上であること、または
- 500万円以上の資金調達能力があること(金融機関の残高証明書などで証明)。
法人成り直後の場合、法人設立時の資本金を500万円以上とすることで、この要件を最も簡単にクリアできます。
関連記事:【建設業許可の要件】財産要件の500万円。無い場合は?融資でもいい?行政書士が徹底解説!
営業所の要件
- 建設業の営業を継続的に行うことができる事務所が必要です。法人成りに伴い、賃貸借契約名義を新法人名義に変更するなど、事務所としての実態を整える必要があります。申請時には、営業所の写真が必要となります。
関連記事:【建設業許可の要件】営業所として認められる要件とは。自宅でもOK?行政書士が徹底解説!
誠実性・欠格要件
- 新法人の役員などが、過去に建設業法や他の法令違反を犯し、不適切な行為を行っていないことが許可取得の条件となります。
関連記事:【知らなかったでは済まされない】建設業許可の欠格要件とは?代表者・役員が注意すべきポイント
5|必須要件⑥:適切な社会保険への加入

令和2年以降、建設業許可の申請において、社会保険(健康保険、厚生年金保険、雇用保険)への加入は、許可の必須要件となっています。
法人成りした場合、従業員の有無にかかわらず、社長一人であっても健康保険、厚生年金保険への加入が義務付けられます。
- 健康保険・厚生年金保険:法人はすべての事業所で加入が必須です。
- 雇用保険:従業員を雇用する場合、加入が必須です。
許可申請の際には、これらの保険の加入を証明する書類(保険料領収書、適用事業所決定通知書など)の提出が求められます。法人設立と同時に、社会保険の手続きも速やかに済ませる必要があります。
関連記事:【建設業許可の要件】適切な社会保険とは?ケース別に徹底解説!
6|法人成りから許可申請までのロードマップと専門家サポート

個人事業主が法人成りし、同時に建設業許可を取得するまでの流れは以下の通りです。
- 法人設立準備:資本金決定(500万円以上推奨)、個人事業主時代の書類整理。
- 法人設立登記:法人の設立日を確定。
- 社会保険加入手続き:登記完了後、速やかに健康保険・厚生年金保険・雇用保険に加入。
- 経管・営業所技術者の選任と営業所の整備:常勤役員として選任し、事務所を新法人名義で整備。
- 建設業許可申請:すべての要件を証明する書類を揃え、行政庁へ提出。
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法人成りから建設業許可の取得を目指す事業者様に、弊所が法人設立手続きから、許可要件の確認、必要書類の作成、行政庁への申請までを一貫してサポートすることが可能です。個人事業主時代の経験を最大限に活かし、スムーズな許可取得を実現します。
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7|まとめ:成功の鍵は「個人時代の経験の証明」
法人設立と建設業許可の同時取得は、十分に可能です。成功の鍵は、個人事業主として積み重ねた経験(5年以上の経営経験、10年以上の実務経験)を、法人に引き継ぐための完璧な証明書類を準備することです。
この複雑な手続きをミスなく、最短で完了させるためにも、ぜひ専門家である行政書士をご活用ください。
弊所のご紹介
弊所は建設業許可に特化した行政書士事務所です。
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