建具工事業とは?どんな工事の内容が当てはまる?建設業許可取得に役立つ資格も併せて解説!
建具工事業とは?どんな工事の内容が当てはまる?建設業許可取得に役立つ資格も併せて解説!

「建具工事業」について、具体的にどのような仕事をするのか、正確に理解しているでしょうか?これから建設業許可の取得を考えている方にとって、ご自身の事業がどの業種に該当するのかを正しく把握することは非常に重要です。この記事では、建具工事業の定義から、ご指定の具体的な工事内容、さらには建設業許可取得に役立つ資格まで、詳しく解説していきます。これから建具工事業で建設業許可を取得しようとお考えの方に、少しでも参考にしていただけると幸いです。
建具工事業とは? 建設業許可における定義
建具工事業は、建設業法で定められた29の業種のうちの一つです。その定義は「工作物に木製又は金属製の建具等を取り付ける工事」とされています。
「建具」とは、建築物において開口部を塞ぐ役割を持つ部材を指します。具体的には、ドア、窓、襖、引き戸、シャッターなどが含まれます。これらの建具を現場で加工し、建物に設置・取り付けることが建具工事業の主な業務となります。
単純に既製品をはめ込むだけでなく、オーダーメイドの建具を製作し、それに合わせて現場の開口部を調整するといった、高度な技術が求められる場合もあります。
建具工事業に該当する具体的な工事内容
建具工事業と聞くと、単純に窓やドアを取り付けるだけ、と思われがちですが、その業務範囲は多岐にわたります。以下に、代表的な工事内容をいくつかご紹介します。
- 金属製建具取付工事 スチール製やステンレス製のドア、枠、パネルなどを建物に取り付ける工事です。防火性能や防音性能を要求される部分に用いられることが多く、高い精度が求められます。
- サッシ取付工事 窓枠であるサッシの取り付けを行います。アルミサッシや樹脂サッシなど、様々な素材があり、建物の断熱性や気密性を左右する重要な工事です。
- 金属製カーテンウォール取付工事 主に高層ビルなどで、建物の荷重を支える役割を持たない非構造壁である「カーテンウォール」の取り付けを行います。アルミやスチールを骨組みにガラスやパネルをはめ込む、専門性の高い工事です。
- シャッター取付工事 店舗や倉庫、住宅のガレージなどに設置されるシャッターの取り付け・修理・交換を行います。手動式から電動式まで、種類に応じて適切な施工が必要です。
- 自動ドアー取付工事 商業施設や病院、オフィスビルなどで見られる自動ドアの取り付け・調整を行います。電気工事の知識も必要になる場合があります。
- 木製建具取付工事 木製のドア、室内ドア、窓枠などの取り付けです。木の特性を理解し、反りや歪みを考慮した繊細な加工・施工が求められます。
- ふすま工事 和室に欠かせない襖の新規取り付けや張り替え、調整を行います。近年では洋室にも合うデザインのものが増え、需要があります。
これらの工事は、新築工事における新規取り付けだけでなく、既存の建物のリフォームや改修工事においても需要が高いです。特に、省エネ性能を高めるための窓の二重サッシ化や、防犯性能の向上を目的とした建具交換などは、今後の市場拡大が期待されています。
建具工事業の建設業許可取得に必要な要件
建設業許可を取得するには、いくつかの厳しい要件を満たす必要があります。建具工事業の場合も例外ではありません。ここでは、特に重要な経営業務の管理責任者と専任技術者について詳しく解説します。
経営業務の管理責任者
建設業の経営を適切に行うための知識と経験を持つ人が必要です。以下の要件を満たす必要があります。
- 建設業に関して、5年以上の経営経験があること。
「経営経験」とは、個人事業主として建設業を営んでいた期間や、法人の役員として経営に携わっていた期間などを指します。
専任技術者(現営業所技術者)
工事の技術的な側面を管理・指導する役割を担います。以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
- 指定学科の卒業者で、実務経験がある
- 高校:5年以上の実務経験
- 大学・高専:3年以上の実務経験
- 指定学科:建築学・機械工学(建具工事業の場合)
- 建具工事業に関する実務経験が10年以上あること。 この実務経験は、無資格・学歴不問でも認められる要件です。
- 特定資格の保有者 後述する、建具工事業に関連する国家資格などを保有している場合、実務経験が短縮または不要になります。
専任技術者は、原則としてその営業所に常勤している必要があります。
別記事:営業所技術者となるための要件を分かりやすく解説
建設業許可取得に役立つ資格とは?

建具工事業の建設業許可取得において、特に専任技術者の要件を満たす上で有利になる資格がいくつか存在します。これらの資格を取得することで、実務稀有県の証明をする必要がなくなります。(一部実務経験が必要なものもあります)
2. 建築施工管理技士
- 一級建築施工管理技士
- 二級建築施工管理技士(仕上げ)
建築施工管理技士は、施工計画の作成、工程管理、品質管理、安全管理など、工事全体のマネジメントを行う専門家です。
技能士
技能士は、各分野で高度な技能を持つ人に与えられる国家資格です。建具工事業に関連する技能士資格は多数存在し、専任技術者の要件を満たす上で非常に役立ちます。
別記事:建設業の技能検定の種類はどれくらいある?
- 建具製作:木製建具の製作に関する技能を証明する資格です。
- サッシ施工:サッシの施工に関する技能を証明する資格です。
- カーテンウォール施工:高層ビルなどで見られるカーテンウォールの取り付けに関する資格です。
一級を保有している場合は実務経験なしで要件を満たせますが、二級のみ保有の場合は加えて3年の実務経験が必要となります。
登録基幹技能者
登録基幹技能者とは、高い技術力と現場管理能力を持つ、熟練の職人のことです。国土交通大臣が認める講習を修了することで取得できます。
別記事:登録基幹技能者について解説
- 登録サッシ・カ-テンウォ-ル基幹技能者
まとめ:建具工事業許可取得のステップ

建具工事業の建設業許可を取得する道のりは、以下のステップで進めるのが一般的です。
- 事業内容の確認:ご自身の事業が本当に「建具工事業」に該当するか、改めて確認します。他の業種と兼ねる場合は、それぞれの許可要件も把握する必要があります。
- 要件の確認:経営業務の管理責任者と専任技術者の要件を満たしているか、経歴や資格を確認します。その他の要件もしっかりと確認しましょう。
- 必要書類の準備:登記事項証明書、確定申告書の控え、資格証明書、実務経験を証明する契約書など、膨大な書類を準備します。
- 申請手続き:準備した書類を管轄の都道府県知事や国土交通大臣に提出します。
- 審査:提出書類に不備がないか、許可要件を満たしているか、厳正な審査が行われます。
- 許可取得:無事に審査が通れば、建設業許可を取得できます。
建具工事業は、建築物の品質と安全性を保つ上で欠かせない重要な仕事です。建設業許可を取得することで、社会的な信頼性が向上し、より大きな規模の工事や公共工事にも参加できるようになります。不明な点があれば、専門の行政書士に相談することをお勧めします。
建具工事業の建設業許可を取得して、さらなる事業の拡大を目指しましょう。