解体工事業とは?どんな工事の内容が当てはまる?建設業許可取得に役立つ資格も併せて解説!
解体工事業とは?どんな工事の内容が当てはまる?建設業許可取得に役立つ資格も併せて解説!

「解体工事業の建設業許可を取りたいけど、どんな工事が該当するの?」
「解体工事って、建設業許可がなくてもできるって聞いたけど、本当?」
これから解体工事業を始めたい、または事業を拡大したいと考えている皆さんにとって、建設業許可の取得は避けて通れない重要なステップです。しかし、解体工事業の許可要件や、どんな工事が当てはまるのか、正確に理解している方は少ないかもしれません。
この記事では、解体工事業の定義から、具体的な工事内容、許可取得に役立つ資格、そして許可取得の具体的なメリットまで、詳しく、そしてわかりやすく解説していきます。これから解体工事業の建設業許可を取得しようとお考えの方に、少しでも参考にしていただけると幸いです。
目次
1:解体工事業とは?その定義と他の業種との違い
解体工事業は、建設業許可における29の専門工事業種の一つです。その名の通り、「工作物(建築物)を解体する工事」を専門に行う業種として、平成28年6月1日に新設されました。
それまでは「とび・土工工事業」に含まれていましたが、解体工事の専門性が高まり、安全性の確保が重要視されたことから、独立した専門業種として確立されました。
国土交通省の建設業許可の手引きでは、以下のように定義されています。
「工作物の解体を行う工事」
この定義が示す通り、解体工事業の対象となるのは、既存の建物を解体・撤去する工事です。
混同されやすい業種との違い
解体工事業は、以下の業種と混同されやすい傾向があります。
- とび・土工工事業: 解体工事業新設以前は解体工事を包含していました。現在は、とび、ひき、地盤改良、基礎工事、土砂の掘削・運搬などの工事が中心となります。解体工事業の許可を取得すれば、とび・土工工事業の一部の許可も自動的に取得できるわけではありません。
- 土木一式工事業・建築一式工事業: これらの総合工事業は、基本的に新しい構造物を建てる工事が主であり、解体工事単体では該当しません。総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物や建築物を解体する場合はは一式工事に該当することがあります。
2:解体工事業に該当する具体的な工事内容
解体工事業に該当する工事は「工作物解体工事」とされています。具体的には、以下のようなものが挙げられます。
- 建築物の解体工事: 木造住宅、鉄骨造のビル、RC造のマンションなど、あらゆる建築物の解体・撤去工事。これらの工事には、事前にアスベストの有無を調査し、適切な方法で除去する作業も含まれます。
- 工作物の解体工事: 橋梁やトンネル、コンクリート構造物、煙突、塀など、建築物以外の工作物の解体工事。
- 産業廃棄物の運搬・処分: 解体工事に伴って発生する産業廃棄物(コンクリートガラ、木くず、鉄くずなど)の分別、積込み、運搬、そして最終的な処分場への搬入も、解体工事業の付帯工事として含まれます。
解体工事は、単に建物を壊すだけでなく、アスベストなどの有害物質の調査・除去、粉じんや騒音対策、近隣への配慮、産業廃棄物の適正な処理など、非常に高度な専門知識と安全管理が求められる仕事です。
3:解体工事は建設業許可がなくてもできる?

原則として、1件の請負代金の額が500万円以上(税込み)の解体工事を行う場合は、建設業許可が必要です。この金額は、材料費や運搬費など、請負代金に含まれる全ての費用を合算した金額です。
逆に言えば、500万円未満の解体工事のみを行う場合は、建設業許可は必須ではありません。しかし、以下の理由から、たとえ小規模な工事が中心であっても、許可を取得しておくことを強く推奨します。
- 社会的な信頼性の向上: 建設業許可を持っていることで、顧客や元請け会社からの信頼が格段に上がります。「ちゃんとした会社」として評価され、選ばれやすくなります。
- 大規模工事の受注: 許可がなければ500万円以上の工事は請け負えず、事業の拡大が制限されます。許可を取得することで、官公庁の入札に参加するなど、新たなビジネスチャンスが生まれます。
- 融資や助成金の活用: 許可の有無が、金融機関の融資審査や、国・自治体の助成金申請に影響する場合があります。事業資金の調達がスムーズになります。
- 法令遵守とリスク回避: 許可を持つことで、建設業法に基づいた適正な事業運営が求められ、法令違反のリスクを回避できます。
4:解体工事業の建設業許可を取得するには?
建設業許可を取得するためには、「経営業務の管理責任者」と「専任技術者」という2つの主要な要件を満たす必要があります。解体工事業の場合、「専任技術者」の要件が特に重要となります。
専任技術者の要件を満たす方法
専任技術者は、該当する工事について一定の専門知識と経験を持っていることを証明する人物です。解体工事業の専任技術者になるには、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
- 実務経験: 解体工事に関して、10年以上の実務経験があること。
- 指定学科卒業+実務経験: 指定された学科(土木工学又は建築学に関する学科)を卒業後、一定年数の実務経験があること。(大学・高専卒なら3年、高校卒なら5年)
- 国家資格の保有: 指定された国家資格を保有していること。
この中で、国家資格の保有が最も確実でスピーディーな方法です。特に、実務経験が不足している場合や、証明が難しい場合に有効です。
別記事:専任技術者となる要件を分かりやすく解説
5:建設業許可取得に役立つ国家資格

解体工事業の専任技術者として認められる、代表的な国家資格は以下の通りです。
- 1級・2級土木施工管理技士(土木): 土木工事全般の施工管理ができる資格。解体工事は土木工事と密接に関連するため、非常に有効です。特に1級土木施工管理技士は、解体工事全般を監理する上で、高い専門性を証明できます。
- 1級・2級建築施工管理技士(建築/躯体): 建築工事全般の施工管理ができる資格。建築物の解体には欠かせない知識が求められます。
- 技術士|建設・総合技術監理(建設)/建設「鋼構造及びコンクリート」・総合技術監理(建設「鋼構造及びコンクリート」): 高度な技術力を証明する資格であり、専任技術者として認められます。別記事:技術士について解説
- とび技能士:高いレベルの技能と知識を持っていることの証明になります。※2級の場合は3年の実務経験が必要
別記事:建設業における技能検定の種類について解説 - 解体工事施工技士:解体工事の専門的な知識と技術を持っていることを証明する資格です。
これらの資格は、専門性を証明するだけでなく、顧客からの信頼獲得にもつながります。
6:解体工事業の将来性
解体工事業は、今後も需要が拡大していくと予測される、非常に将来性のある事業です。
- 建物の老朽化: 日本国内の住宅やビルは、高度経済成長期に建てられたものが多く、今後、それらの建て替えや解体の需要が増加します。特に、耐震性の低い古い建物は、解体や建て替えが進んでいくと予想されます。
- アスベスト対策: 法改正により、アスベストの事前調査や対策が義務付けられています。これには専門的な知識と技術が不可欠であり、専門業者の需要は高まる一方です。
- インフラ整備事業: 公共事業における橋梁や道路の改修・解体も、解体工事業の重要な仕事です。
7:まとめ

解体工事業は、単に建物を壊すだけでなく、高度な技術と安全管理が求められる専門性の高い仕事です。
これから建設業許可を取得しようと考えている方は、まずは自社の事業が解体工事業に該当するかを正しく見極めることが重要です。そして、専任技術者の要件を満たすために、関連する国家資格の取得を視野に入れることをおすすめします。
解体工事業の建設業許可を取得して、さらなる事業の拡大を目指しましょう。