【どの業種をとればいい?】シーリング工事を行う場合に必要な建設業許可をケース別に解説!
【どの業種をとればいい?】シーリング工事を行う場合に必要な建設業許可をケース別に解説!

これから建設業許可の取得をお考えの、シーリング工事を行う事業者の皆さん、お疲れ様です。
よく「防水工事業」の許可で良いと聞くけれど、本当にそれだけで全て対応できるのか、他の工事も請け負うことになったらどうすれば良いのか、といった疑問をお持ちではないでしょうか?
建設業許可は、請負金額が税込500万円以上の工事を請け負うために必要となる、事業の信頼性を担保する重要なライセンスです。
この記事では、シーリング工事を主軸とする事業者様がどのようなケースでどの建設業許可(業種)を取得すべきかを、具体的な事例を交えて徹底的に解説します。少しでも参考にしていただけると幸いです。
090-9451-9906(茂木)
1|シーリング工事に最も関連する建設業許可業種は「防水工事業」

シーリング工事は、建設業法上の29の業種区分のうち、主に防水工事業に該当します。
防水工事業とは?
防水工事業とは、「アスファルト、モルタル、シーリング材等によって防水を行う工事」を指します。
ポイント
- シーリング工事(建築物の内外装、サッシ周り等の隙間にシーリング材を充填する工事)
- アスファルト防水、モルタル防水、シート防水、塗膜防水、注入防水などの各種防水工事
- 止水工事(注入工法など)
請け負う工事が、500万円以上で、上記のシーリング工事を含む防水工事のみであれば、「防水工事業」の許可を取得すれば問題ありません。
関連記事:防水工事業とは?どんな工事の内容が当てはまる?取得に役立つ資格も併せて解説!
2|ケース別解説:あなたの事業に必要な許可業種は?

「防水工事業」のみで良いのか、それとも他の業種も必要になるのかは、あなたが実際に請け負う工事の範囲によって変わります。
ここでは、シーリング工事業者が直面しやすい具体的なケースと、それぞれに必要な許可業種を解説します。
ケース1:純粋なシーリング工事のみを請け負う場合
| 請負う工事の範囲 | 必要な許可業種 |
| 外壁目地、サッシ周り、打ち継ぎ目地など、シーリング材の充填工事のみ。 | 防水工事業 |
これが最もスタンダードなケースです。請負金額が500万円以上のシーリング工事であれば、この許可一つで対応可能です。
ケース2:シーリング工事と「塗装工事」を合わせて請け負う場合
建物の改修工事の現場では、外壁のシーリング打ち替え・増し打ちと同時に、外壁や屋根の塗装工事を一括で請け負うこともあります。
| 請負う工事の範囲 | 必要な許可業種 |
| シーリング工事(防水)+ 外壁・屋根・鉄部などの塗装工事を請け負う。 | 防水工事業 + 塗装工事業 |
この場合、防水工事とは別に、500万円以上の塗装工事を請け負う可能性があるならば、「塗装工事業」の許可も必要となります。
許可の考え方
建設業許可は、工事全体ではなく、個別の専門工事(業種)ごとに必要となります。例えば、総額800万円の工事で、防水工事が450万円、塗装工事が350万円だった場合、どちらも500万円未満なので「許可は不要」ということではありません。請負う契約が800万円である以上、何らかの許可が必要です。
例外:附帯工事
メインの工事に付随する工事(メインの工事より金額が少ない)であれば、その業種の許可を持っていなくても、メインの許可業種の「附帯工事」として請け負うことが可能です。
関連記事:塗装工事業とは?どんな工事の内容が当てはまる?取得に役立つ資格も併せて解説!
ケース4:外壁のALC板やサイディング板の張り替えなど「タイル・れんが・ブロック工事業」や「屋根工事業」を合わせて請け負う場合
劣化が激しい場合、シーリングの打ち替えだけでなく、外壁のサイディングやALCパネルまで一括で請け負うケースです。
| 請負う工事の範囲 | 必要な許可業種 |
| シーリング工事(防水)+ 外壁サイディングの張り替え。 | 防水工事業 + タイル・れんが・ブロック工事業 |
このように、シーリング工事以外の専門工事を請け負う場合は、その工事に該当する業種の許可が必ず必要になります。サイディング工事は「タイル・れんが・ブロック工事業」に含まれるため、外壁改修を本格的に行うなら検討すべき業種です。
関連記事:タイル・れんが・ブロック工事業とは?どんな工事の内容が当てはまる?取得に役立つ資格も併せて解説!
3|複数の許可(兼業)を取得するメリットと要件

シーリング工事を主軸としつつ、複数の建設業許可を取得することには以下のようなメリットがあります。ただ、必要な要件が増えるため、事前に要件を満たしているかのチェックが必要です。
兼業許可を取得するメリット
- 請負可能範囲の拡大: 一つの現場で、防水・塗装・下地補修まで、ワンストップで一括受注できるようになり、顧客からの信頼度が向上します。
- 経営の安定化: 特定の工事需要に依存せず、多角的な事業展開が可能になり、経営が安定します。
- 付帯工事を超えた対応: 塗装工事や下地補修を本格的に請け負う際、500万円を超えても合法的に工事を進められます。
兼業許可を取得する際の要件
複数の業種で許可を取得する場合、各業種ごとに以下の要件を満たす必要があります。
営業所技術者(旧専任技術者)
それぞれの許可業種について、所定の資格(例:一級防水施工技能士、一級建築施工管理技士、一級土木施工管理技士など)を持つか、10年以上の実務経験を持つ者を「営業所技術者」として配置する必要があります。
ただし、特定の資格(例:一級建築施工管理技士、二級建築士など)を持っている場合、複数の業種の営業所技術者を兼任できることがあります。この特定の資格を保有していると、許可取得時にかなり役立ちます。
関連記事:資格と実務経験が鍵! 建設業許可の営業所技術者(専任技術者)の要件を分かりやすく解説!
その他の要件
- 経営業務の管理責任者(役員など):業種ごとの配置は不要で、一人の者が全ての業種で兼任できます。
関連記事:難解な要件をクリア!経営業務の管理責任者証明のポイントとケース別対応策 - 財産的要件(自己資本500万円以上または資金調達能力):許可取得時に、500万円以上の資金調達能力が求められます。
関連記事:【建設業許可の要件】財産要件の500万円。無い場合は?融資でもいい?行政書士が徹底解説!
まずは基本となる「防水工事業」で許可を取得し、その営業所技術者の資格や実務経験を確認した上で、次に取得したい業種で兼任が可能か、新たに要件を満たす人材が必要かを検討するのがスムーズです。
4|まとめと次のステップ

シーリング工事を主とする事業者が建設業許可を取得する際の要点は以下の通りです。
| 請負う工事の範囲 | 取得すべき許可業種 | 事業拡大の方向性 |
| シーリング工事のみ | 防水工事業 | 基礎許可。まずはこれ一つから。 |
| 防水+塗装工事 | 防水工事業 + 塗装工事業 | 外装改修の対応力強化。 |
| 防水+サイディング張替え | 防水工事業 + タイル・れんが・ブロック工事業 | 外壁全面リフォームへの進出。 |
あなたの事業の現状と将来の展望を照らし合わせ、「どの専門工事を請け負う可能性があるか」を明確にすることで、必要な建設業許可業種が明確になります。
まずは基本となる「防水工事業」の取得要件を満たす準備から始め、将来的に請け負う可能性のある工事に合わせて、他の業種の兼業許可を検討していくのが最も堅実な戦略です。
ご自身の持つ資格や実務経験で、複数の業種を兼任できるかを確認し、効率よく許可取得を進めましょう。
許可取得に少しでも不安がある場合には、専門家である行政書士に相談することをお勧めします。
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弊所のご紹介
弊所は建設業許可に特化した行政書士事務所です。
ご相談は無料で承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。元、型枠大工の行政書士が全力でお客様の事業をサポートいたします。

また、弊所の取り組みとして近年現場で導入が進んでいる「建設キャリアアップシステム」や「グリーンサイト」、「buildee」の登録代行も、建設業許可と合わせて行っております。
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