【どの業種をとればいい?】鍛冶工事を行う場合に必要な建設業許可をケース別に解説!
【どの業種をとればいい?】鍛冶工事を行う場合に必要な建設業許可をケース別に解説!

これから建設業許可の取得を考えている鍛冶工事を取り扱っている建設業者の皆様、お疲れ様です。
「鍛冶工事の許可は、一体どの業種を取れば良いのだろう?」
これは、建設業許可の申請を検討する鍛冶工事業者様が必ず直面する、最も重要な疑問の一つです。
結論から申し上げると、鍛冶工事はその施工実態と請負内容によって、取得すべき専門工事の業種が変わってきます。
この記事では、鍛冶工事を主軸とする事業者が取るべき建設業許可の業種について、具体的な考えられるケースを交えながら、分かりやすく徹底解説します。少しでも参考にしていただけると幸いです。
目次
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1|鍛冶工事の定義

「鍛冶工事」という名称は、古くからある職人仕事の総称であり、その内容は非常に幅広いです。建設現場における鍛冶工事は、主に鋼材の切断、溶接、接合、曲げ加工などによって、構造物や部材を現場で組み立てたり、補修・加工したりする工事を指します。
この工事は、建築物や橋梁などの構造物の強度や安全性を直接担う部分の施工実態があるため、取得すべき建設業許可の業種を決定づける鍵となります。単に鉄を加工するだけでなく、それを構造物の一部として機能させるための重要な役割を担っています。
2|鍛冶工事を請け負うために必要な建設業許可の業種

鍛冶工事を請け負う場合に、その施工実態に応じて最も該当し、かつ一般的に取得される業種は、請け負う工事の規模や目的に応じて主に以下の2つに分かれます。
| 請け負う工事の内容 | 取得すべき業種 |
| 主に工場における鉄骨の製作、または現場での鉄骨の組み立て・接合を請け負う場合 | 鋼構造物工事業 |
| 建物・機械・配管などの現場での軽微な溶接・切断による加工・補修を請け負う場合 | とび・土工工事業 |
業種定義の詳細
1. 鋼構造物工事業
- 定義: 形鋼、鋼板等の鋼材の加工または組立てにより工作物を築造する工事。
- 鍛冶工事との関連性: 建築物や橋梁などの主要構造部となる鉄骨を、工場で製作したり、現場で溶接・接合し、組み立てる工事はこれに該当します。この業種が、本格的な構造物の鉄骨工事を請け負う際の最も中心的な許可業種となります。
関連記事:鋼構造物工事業とは?どんな工事の内容が当てはまる?取得に役立つ資格も併せて解説!
2. とび・土工工事業
- 定義: 足場組立て、機械器具・建設資材等の運搬配置、鉄骨組立て等、他の専門工事に該当しない専門的な工事。
- 鍛冶工事との関連性: 現場でのデッキプレートの溶接、手摺や架台の溶接、アンカーボルトの補修など、構造体の組立てではない軽微な加工・補修や、付随的な鍛冶工事は、この業種に含まれると解釈されることが多いです。
関連記事:とび・土工・コンクリート工事業とは?どんな工事の内容が当てはまる?取得に必要な資格も解説!
【結論】鍛冶工事の許可は「鋼構造物工事業」と「とび・土工工事業」のどちらかです
主たる事業が鉄骨造の建物の骨組みそのものの製作・組立であるなら「鋼構造物工事業」を。鉄骨製作は行わず、現場での溶接・加工・補修を専門とする場合は「とび・土工工事業」を視野に入れます。
※鉄骨建て方専門の場合、工場での制作は行わないため、「とび・土工工事業」となります。
関連記事:【「とび・土工」でOK?】鉄骨鳶・重量鳶に必要な建設業許可の業種は?ケース別に解説!
3|【ケース別】鍛冶工事業者が取るべき建設業許可

鍛冶工事を主軸としながらも、他の関連工事も一括で請け負う場合、兼業として複数の業種許可が必要になることがあります。事業の全体像を見て、必要な業種を選びましょう。
ケース1:鉄骨構造物(建築物や橋梁など)の製作・現場組立を主に行う場合
- 主たる請負工事: 工場での鉄骨の切断・溶接・加工による製作、および製作された鉄骨を現場でクレーンなどを用いて組み立て、溶接・接合し、構造体を完成させる工事。
- 取得すべき業種: 鋼構造物工事業(この業種単独で主要な鉄骨工事の請負はOK)
このケースが、大規模な建築物の構造体に関わる鍛冶工事業者様のモデルです。請負金額が500万円以上になる場合は、必ず「鋼構造物工事業」の取得が必要です。
ケース2:鉄骨の製作は行わず、現場での軽微な溶接・加工・補修を専門に行う場合
- 主たる請負工事: 現場に搬入されたデッキプレートの溶接、手摺や架台の溶接、アンカーボルトの溶接による補修、その他構造体の組立てとは区別される軽微な溶接・切断・加工を専門に行う。
- 取得すべき業種: とび・土工工事業
建設現場で頻繁に発生する付随的な溶接・加工・補修(鍛冶屋仕事)を専門的に請け負う場合、その請負内容が主要構造物の組立てに該当しない限り、「とび・土工工事業」に含まれると解釈されます。
4|許可が必要になる「請負金額」のライン

建設業許可は、全ての工事に必要となるわけではありません。以下の「軽微な建設工事」のみを請け負う場合は、許可が不要です。
| 工事の種類 | 許可が不要な工事(軽微な建設工事) |
| 専門工事(鍛冶工事含む) | 1件の請負代金の額が500万円未満の工事(税込) |
| 建築一式工事 | 1件の請負代金の額が1,500万円未満の工事(税込) または、延べ面積が150平方メートル未満の木造建築物 |
鍛冶工事は、「鋼構造物工事業」または「とび・土工工事業」という専門工事に該当します。
したがって、1件の鍛冶工事(溶接・接合・補修など)の請負代金が500万円(税込)以上になる場合は、請け負う内容に応じて鋼構造物工事業またはとび・土工工事業の建設業許可が必ず必要となります。
5|建設業許可を取得するメリット・デメリット

建設業許可を取得することには、事業の継続と拡大に必要な以下のようなメリットとデメリットがあります。
| メリット | デメリット | |
| 許可取得 | ・500万円以上の工事を請け負えるようになり、上限がなくなる。 ・社会的信用力が向上し、元請けからの受注機会が増加する。 ・金融機関からの融資や入札参加の前提条件となる。 | ・許可要件を満たすための営業所技術者や財産的要件の準備が必要。 ・許可申請や更新手続きに手間とコストがかかる。 ・許可取得後の書類の整備など、法令遵守が必要となる。 |
特に、請負金額の上限がなくなることは、事業を継続的に拡大していく上で最大のメリットとなります。建設業許可は、貴社の施工能力と財務基盤が一定水準にあることを証明する公的な保証にもなるため、企業としての信頼性が向上します。
6|まとめ:鍛冶工事の事業拡大に必要な業種とは

鍛冶工事業者が建設業許可を取得する際の選択肢をまとめます。
| 求める事業像 | 最優先で取得すべき業種 |
| 鉄骨造の構造体の製作・現場組み立て専門 | 鋼構造物工事業 |
| 軽微な現場溶接・補修や、デッキなどの現場溶接を専門に行う | とび・土工工事業 |
鍛冶工事は、請け負う内容が「構造体としての鉄骨組立て・製作」なのか、「付随的な補修や軽微な加工」なのかによって、取得すべき業種が「鋼構造物工事業」または「とび・土工工事業」に分かれます。
事業拡大の際は、自身の事業が現在行っている工事、今後受注したい工事がどちらの業種に該当するかを正確に見極めることが重要です。
行政書士などの専門家は、事業計画に合わせて最適な業種選定をアドバイスできます。建設業許可の取得に向けて、まずはご自身の事業を詳細に分析してみましょう。不安に感じることがあれば、専門家である行政書士に相談することをお勧めします。
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弊所は建設業許可に特化した行政書士事務所です。
ご相談は無料で承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。元、型枠大工の行政書士が全力でお客様の事業をサポートいたします。

また、弊所の取り組みとして近年現場で導入が進んでいる「建設キャリアアップシステム」や「グリーンサイト」、「buildee」の登録代行も、建設業許可と合わせて行っております。
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