建設業許可の大臣許可・知事許可の違いとは?行政書士が分かりやすく解説!
建設業許可の大臣許可・知事許可の違いとは?行政書士が分かりやすく解説!

建設業許可には、事業所の所在地によって「大臣許可」と「知事許可」の2種類があります。この2つの大きな違いは、営業所が複数の都道府県にあるか、それとも一つの都道府県内だけにあるかという点です。
建設業許可において、基本的なことです。ただ、「これから許可を取得したい」方にとってはまず最初に疑問を抱く部分ではないでしょうか。今回は建設業許可をメインとして取り扱っている行政書士として、それぞれの特徴と注意点を分かりやすく解説します。
1:大臣許可と知事許可の決定的な違い
建設業許可には、以下の通り、営業所の所在地によって申請先が異なります。
- 知事許可: 営業所が1つの都道府県のみにある場合。 (例: 東京都内に本店と支店がある場合)
- 大臣許可: 営業所が2つ以上の都道府県にわたる場合。 (例: 東京都に本店、大阪府に支店がある場合)
この区分のポイントは「営業所の所在地」であり、工事を施工する場所ではありません。知事許可を受けた建設業者が、許可を受けた都道府県外で工事を行うことは、可能です。この点はよく誤解されがちなので注意が必要です。
全国展開しているような大きな会社が大臣許可。地域密着の会社は知事許可。なんてイメージで良いのではないでしょうか。一人親方の方は基本的に知事許可という認識で問題ありません。
2:大臣許可と知事許可の共通点
項目 | 詳細 |
工事施工可能エリア | どちらの許可でも、全国どこでも工事を請け負うことが可能。 |
許可要件 | 経営業務の管理責任者、専任技術者、財産的基礎、誠実性など、共通の許可要件を満たす必要がある。 |
特定・一般の区分 | 特定建設業(下請けに出す工事の総額が5,000万円以上)と一般建設業(それ以外)の区分は、大臣許可・知事許可どちらにも存在する。 |
3:大臣許可と知事許可の細かな違いと注意点
ここでは、申請手続きや費用、審査期間など、実務面での違いを解説します。
申請窓口と審査期間
- 知事許可: 申請先は各都道府県の都道府県知事です。審査期間は、都道府県によって異なりますが、群馬県では一般的に一ヶ月~一か月半です。
- 大臣許可: 申請先は本店の所在地を管轄する地方整備局です。知事許可に比べて審査が厳格で、審査期間は2~3ヶ月以上と長くかかる傾向があります。
申請費用
- 知事許可: 新規申請の手数料は、9万円です。(都道府県の収入証紙などを使って納付します)
- 大臣許可: 新規申請は登録免許税15万円が必要です。(税務署に納付します)
大臣許可のほうが費用は高くなります。
更新・業種追加
- 知事許可・大臣許可共通: 更新申請は5万円、業種追加も5万円です。
4:大臣許可と知事許可の切り替え
事業拡大に伴い、営業所が2つ以上の都道府県にわたる場合、知事許可から大臣許可への「許可換え新規申請」が必要になります。
この手続きは新規申請に準ずるものであり、改めて必要書類を揃え、登録免許税を納付して申請を行います。この際、従来の知事許可は廃止となります。
また、大臣許可から知事許可への切り替えも、営業所が1つの都道府県のみになった場合に発生します。こちらも同様に、新規申請に準する手続きが必要です。
5:どちらの許可を選ぶべきか?
どちらの許可を選ぶかは、シンプルに「営業所の所在地」で決まります。
「将来、他県にも営業所を出す予定だから、最初から大臣許可を取っておこう」と考える方がいらっしゃいますが、それは間違いです。
現時点で営業所が1つの都道府県内にしかない場合は、必ず知事許可を申請する必要があります。 大臣許可は、すでに複数の都道府県に営業所を設置している場合に初めて申請できるものです。この点を誤解してしまうと、申請がスムーズに進まないばかりか、無許可営業とみなされるリスクもあるため、十分に注意してください。
6:まとめ
項目 | 知事許可 | 大臣許可 |
申請先 | 1つの都道府県のみに営業所がある場合 | 2つ以上の都道府県に営業所がある場合 |
許可行政庁 | 都道府県知事 | 国土交通大臣 |
申請費用(新規) | 9万円(手数料) | 15万円(登録免許税) |
審査期間 | 約1〜1.5ヶ月 | 約2〜3ヶ月以上 |
工事可能エリア | 全国どこでも | 全国どこでも |
建設業許可の申請手続きは複雑で、添付書類も多岐にわたります。事業の現状を正確に把握し、最適な許可区分を判断するためにも、専門家である行政書士に相談することをお勧めします。
適切な許可を取得し、事業を拡大していきましょう。