内装仕上工事業とは?どんな工事の内容が当てはまる?取得に役立つ資格も併せて解説!
内装仕上工事業とは?どんな工事の内容が当てはまる?取得に役立つ資格も併せて解説!

建設業許可における内装仕上工事業とは、建物の内装の仕上げを行う専門工事です。
この記事では、内装仕上工事業の仕事内容から、取得に役立つ資格までを網羅的に解説し、この業界の魅力と将来性について深掘りしていきます。これから内装仕上工事業の建設業許可を取得しようとお考えの方や、「内装工事業とはどんな工事が該当するのか」とお考えの方等の幅広い方のお役に立てられれば幸いです。
内装仕上工事業とは?
内装仕上工事業は、建設業法で定められた29の専門工事業種の一つであり、木材、石膏ボード、吸音板、壁紙、たたみ、ビニール床タイル、カーペット、ふすま等を用いて建築物の内装仕上げを行う工事のことを指します。具体的には、建物の骨組みや外壁が完成した後、壁や天井、床といった内部空間の仕上げを行い、建物の美観や機能性、居住性を高める重要な役割を担います。
この仕事は、単に壁紙を貼ったり床材を敷いたりするだけでなく、設計図に基づいた緻密な計画と高い技術力が求められます。他の様々な工事業種、例えば電気工事や空調設備工事、給排水設備工事などと連携し、定められた工期内で精度の高い工事を完遂することが不可欠です。
内装仕上工事業の魅力は、何もない空間から人々の生活や活動の場を創造する大きなやりがいにあると言えるでしょう。オフィスビル、商業施設、ホテル、そして一般住宅まで、多岐にわたる建物の最終的な表情を決定づけるこの仕事は、自身の技術が形となり、多くの人々に快適な空間を提供することに繋がります。
内装仕上工事業に該当する工事とは?
内装仕上工事業に該当する工事は、その範囲が非常に広範にわたります。建設業許可の手引きにも記載されている、代表的な工事を紹介します。
インテリア工事
インテリアデザインに基づいて、室内の装飾や機能的な設備を設置する工事です。照明器具の取り付けやカーテンレールの設置、装飾パネルの施工などが含まれます。建物のコンセプトや利用目的に合わせて、空間全体の雰囲気を創り上げるための重要な工程です。
天井仕上工事
建物の天井に石膏ボードやパネルなどを取り付け、壁紙(クロス)や塗装などで仕上げ、見た目を整えるだけでなく、防音・断熱・清掃性・明るさなどを向上させる工事です。
- ボード張り工事: 下地となる石膏ボードを張る工事です。この工程が、その後の壁紙張りや塗装の仕上がりを左右します。
壁張り工事
壁の仕上げは、室内の雰囲気を決定づける主要な要素です。
- 壁紙張り工事: ビニールクロス、エコクロスなど、多種多様な壁紙を正確に張る工事です。デザイン性だけでなく、耐久性や機能性も考慮して施工します。
- ダイノックシート張り工事: 既存の壁や家具、建具などに木目や石目などの化粧シートを貼り、手軽にリフォームする工事です。
内装間仕切り工事
室内の空間を効率的に区切るための工事です。
- パーティション工事: オフィスなどで部屋を区切るための間仕切り壁を設置します。素材やデザインも豊富で、ガラス製のものや遮音性の高いものなど、目的に応じて使い分けます。
- ローパーテーション工事: 必要に応じて移動や収納ができる間仕切りを設置します。ホテルの宴会場や貸し会議室など、空間を柔軟に利用したい場所に最適です。
床仕上工事
床材は、デザイン性だけでなく、耐久性や清掃性も重要です。
- カーペット張り工事: ロールカーペットやタイルカーペットを張る工事です。保温性や吸音性に優れています。
- 塩ビシート・長尺シート張り工事: 耐水性や防音性に優れた床シートを張る工事です。マンションやアパートなどで多く用いられます。
- フローリング張り工事: 無垢材や複合フローリングなどを張る工事です。温かみのある空間を演出します。
たたみ工事
和室の畳(たたみ)の新設や入れ替えを行う伝統的な工事です。
ふすま工事
襖(ふすま)の新設や張り替えを行う工事です。和風建築の美しさを保つ上で欠かせません。
家具工事
現場で家具を製作するのではなく、工場などで家具を製作する工事です。現場で製作する場合は大工工事に該当します。
防音工事
音の伝わりを抑えるための防音壁や防音材を設置する工事です。住宅のシアタールームや音楽スタジオ、オフィスでのプライベートな空間を確保するために行われます。
建設業許可の取得に役立つ資格

内装仕上工事業の許可を取得するには、専任技術者を配置する必要があります。
その専任技術者となるための要件を満たすには、以下の資格が非常に役立ちます。ただ、資格は必須というわけでは無く、実務経験(10年)で要件を満たすことも可能です。
(別記事:専任技術者の要件を分かりやすく解説)
建築施工管理技士
- 一級建築施工管理技士
- 二級建築施工管理技士(仕上げ)
工事全体の工程管理、品質管理、安全管理、原価管理といった施工管理業務を行う上で必須の知識と技術を証明する国家資格です。
建築士
- 一級建築士
- 二級建築士
建築物の設計や工事監理を行う専門家であり、内装工事においても建物の構造や法規に関する深い知識が求められます。
技能検定
職業能力開発促進法に基づき、内装仕上工事に関する特定の技能を証明する資格です。
(別記事:建設業の技能検定にはどのくらい種類がある?)
- 内装仕上げ施工・カーテン施工・天井仕上げ施工・床仕上げ施工・表装・表具・表具工
- 畳製作・畳工
一級を保有している場合は実務経験なしで専任技術者の要件を満たせますが、二級のみ保有の場合は加えて3年の実務経験が必要となります。
登録基幹技能者
登録基幹技能者とは、熟練した技術と豊富な経験を持つ、現場のリーダーです。
- 登録内装仕上工事基幹技能者
まとめ

内装仕上工事業は、建物の完成度を左右する重要な役割を担っています。しかし、建設業界全体で人手不足が深刻な課題となっており、若い世代の担い手育成が急務です。
一方で、環境に配慮した建材の需要が高まり、リサイクル可能な素材や自然素材の利用が増えるなど、時代の変化とともに進化を続けています。また、3Dプリンターやロボット技術の導入などにより、施工の効率化や精度の向上が期待されています。これらの技術革新は、人手不足を補うだけでなく、より高度で複雑なデザインの実現も可能にします。
内装仕上工事業は、単なる職人技だけでなく、新しい技術や素材への対応力が求められる、将来性のある分野です。多岐にわたる工事内容を理解し、適切な資格を取得することで、この分野での活躍の場を広げることができます。内装仕上工事業の建設業許可を取得して、さらなる事業の拡大を目指しましょう。