資格と実務経験が鍵! 建設業許可の営業所技術者(専任技術者)の要件を分かりやすく解説!

資格と実務経験が鍵! 建設業許可の営業所技術者(専任技術者)の要件を分かりやすく解説!

建設業界で事業を拡大し、500万円以上の大規模な工事を請け負うためには、「建設業許可」の取得が不可欠です。しかし、この許可を得るためにはいくつかの厳格な要件をクリアする必要があり、その中でも特に重要となるのが営業所技術者(専任技術者)の存在です。元々は専任技術者と呼ばれていました。今回は、現在の呼び方である営業所技術者で解説していきます。

営業所技術者とは、請け負った工事の技術上の管理を行う専門家であり、その技術力が会社全体の信頼性を左右すると言っても過言ではありません。この記事では、建設業許可を取得する上で避けて通れない専任技術者の要件について、特に重要な「資格」と「実務経験」の2つの側面から、具体例を交えてわかりやすく徹底解説します。

1:営業所技術者(専任技術者)とは?その重要な役割と要件の基本

営業所技術者は、各営業所に常勤し、その営業所が請け負う建設工事について、技術上の管理を担う役割を負います。建設業許可の申請時には、この専任技術者がいることを証明する書類を提出しなければなりません。

営業所技術者の要件は、大きく分けて「資格」と「実務経験」の2つに分かれます。申請者は、このいずれかの要件を満たすことで、専任技術者として認められます。この二択が存在するのは、必ずしも資格がなくても、長年の実務経験によって十分な技術力が証明できるという考え方に基づいているからです。

2:要件①:指定の国家資格等を持つ「資格」ルート

最もわかりやすく、かつスムーズに営業所技術者の要件を満たすことができるのが、特定の資格を保有しているケースです。このルートの最大のメリットは、実務経験の年数を問わず、資格があれば要件をクリアできる点にあります。
※中には、資格+実務経験が無いと要件を満たせない場合もあります。

【特定建設業許可と一般建設業許可の違い】

営業所技術者に求められる資格のレベルは、取得を目指す許可の種類によって異なります。

  • 特定建設業許可(元請けとして5,000万円以上の下請契約を締結する場合)
    • 一級施工管理技士、技術士、一級建築士などの、より難易度の高い国家資格が求められます。これは、大規模な工事を管理・監督するに足る高度な技術力を証明するためです。
  • 一般建設業許可(特定建設業許可以外の工事を請け負う場合)
    • 二級施工管理技士、二級建築士、建設業法に基づく技能検定合格者(一級または二級)など、比較的取得しやすい資格も対象となります。

【主要工事における資格の具体例】

  • 土木一式工事:一級・二級土木施工管理技士、技術士(建設部門・総合技術監理部門)など
  • 建築一式工事:一級・二級建築士、一級・二級建築施工管理技士など
  • 電気工事:第一種・第二種電気工事士、一級・二級電気工事施工管理技士など
  • 管工事:一級・二級管工事施工管理技士、技術士(衛生工学部門・総合技術監理部門)など
  • その他:造園、大工、左官、とびなど、各工事に対応する一級・二級技能士(一部、実務経験を要する場合あり)

このように、取得したい許可の種類と対応する工事内容によって、求められる資格は多岐にわたります。事前にどの資格が該当するかをしっかりと確認することが重要です。

3:要件②:指定された年数の「実務経験」ルート

指定された資格を持っていなくても、長年の実務経験によって専任技術者の要件を満たすことが可能です。このルートは、資格取得の機会がなかった方や、現場での経験が豊富なベテランの方に適しています。

【実務経験の定義と必要な年数】

ここでいう「実務経験」とは、単なる「手伝い」ではなく、請負契約に基づいて工事の施工に直接携わった経験を指します。

必要な実務経験年数は、学歴によって異なります。

  • 一般建設業許可
    • 指定学科卒業後、〇年以上の実務経験(〇の年数は高校、専門学校、大学によって異なります)
    • 10年以上の実務経験
  • 特定建設業許可
    • 指定学科卒業後、〇年以上の実務経験(〇の年数は高校、専門学校、大学によってことなります)+2年以上の指導監督的実務経験
    • 10年以上の実務経験+2年以上の指導監督的実務経験

※指導監督的実務経験とは建設工事の設計、施工の全般にわたって工事現場の主任や現場監督者のような資格で、工事の技術面を総合的に指導監督した経験のことを言います。
また、指定建設業(土・建・電・管・鋼・舗・園)は実務経験で営業所技術者となることが出来ません。国家資格が必須となります。

【実務経験を証明する書類の準備】

実務経験ルートで申請する場合、その経験を客観的に証明する書類が必須となります。具体的には、以下のような書類が必要です。

  • 工事請負契約書
  • 注文書
  • 請求書
  • 工事台帳
  • 健康保険被保険者証の写し(常勤を証明するため)

これらの書類を過去に遡って収集する必要があるため、日頃から書類を整理しておくことが重要です。

4:営業所技術者(専任技術者)の配置における注意点と「専任」の意味

営業所技術者は専任技術者と呼ばれていました。その「専任」という言葉が示す通り、いくつかの重要なルールがあります。

  • 常勤性の原則:原則として、営業所技術者はその営業所に常勤していなければなりません。他の会社の役員や従業員を兼任したり、他の営業所の営業所技術者と兼務することは認められません。
  • 実務経験の証明方法:申請時に、過去の実務経験を証明する書類の提出が求められます。特に、10年以上の実務経験を証明する際は、全ての期間を証明する書類を揃える必要があり、これが最も手間のかかる部分です。

5:まとめ:あなたのケースは「資格」?「実務経験」?

専任技術者の要件は、資格または実務経験のどちらかで満たすことができます。

  • 「資格」ルート:すでに指定資格を持っている方、またはこれから取得を目指す方に最適です。資格は一度取得すれば、永続的にあなたの技術力を証明してくれます。
  • 「実務経験」ルート資格はないが、長年にわたる豊富な実務経験がある方に最適です。書類の準備は大変ですが、現場で培った技術は揺るぎない証明となります。

建設業許可は、事業の拡大に欠かせない重要なステップです。営業所技術者の要件を理解し、自身のキャリアプランに合わせて計画的に資格取得や実務経験を積むことが、成功への鍵となります。あなたのケースに合った最適なルートを選び、建設業許可の取得を目指しましょう。

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